春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる(凡河内躬恒)

今日は旧暦の1月22日
よみ人:凡河内躬恒 、所収:古今和歌集

日本の春を飾る花、「梅」と「桜」。和歌において、このふたつの詠み方は似ているようでまったく違う。その端的な表れが「香り」だ、梅はこれをひとしきり詠むが、桜はほとんどそうしない。なかでも今日の歌は香りの印象がバツグンだ。『春の夜の闇はむだなことをするね。姿は隠せても、香りまで隠しきれると思ったのかい?』。もはや花の姿かたちなんでどうでもよく、匂いさえ堪能できれば十分と言わんばかり。詠み人の凡河内躬恒といえば百人一首にも採られた「初霜の置き惑わせる白菊の花※」でも分るが、当時の歌人としては五感が優れて先鋭化している。

※「心あてに折らばやおらむ初霜のをきまどはせる白菊の花」(凡河内躬恒)

(日めくりめく一首)

→「令和の歌合せ(皐月の会)」5/26(日)10:00~12:00