既視源氏物語 ~古今集恋歌の光る君~ その24「後顧の憂い」

661「紅の色にはいてしかくれぬの 下にかよひて恋はしぬとも」(友則)
663「笹の葉におくはつ霜の夜をさむみ しみはつくとも色にいてめや」(躬恒)
667「下にのみ恋ふれはくるし玉のをの 絶えてみたれむ人なとかめそ」(友則)

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人に知られてはいないか?
そう思うと、背筋が凍る

とにかく今は、あの逢瀬をなかったことにするしかない

紅の色のように
厳冬の朝、笹の葉に置く初霜の様に
決して、顔色になぞ出してはならない

忘れよう
忘れよう

ただそう思うほど、愛しさがこみ上げる

なんという苦しさだろう

いっそのこと、玉の緒が切れるように乱れてしまいたい
誰の咎めも受けずに

(書き手:歌僧 内田圓学)
→関連記事「既視源氏物語 ~古今集恋歌の光る君~(総集編)
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