「妄想女子の恋歌日記」~恋萌ゆる3月の巻~

●3月20日「あかぬ君」

花もほころぶ3月、しげく萌ゆるは恋心
この恋、実はちょっと進展あり
なんと、彼とSNSで繋がったの
あ~、彼の一挙手一投足、コンマ一秒も逃さず、ずーっと見ていたい!

春の霞たなびく山桜って、いくら見ていてもぜんぜん見飽きないでしょ?
そんな彼なんだもの

684「春霞 たなびく山の さくら花 見れどもあかぬ 君にもあるかな」(紀友則)

●3月20日「我にとけなむ」

私の願いはただ一つ、
春になってあったかくなって、氷がとけちゃうように
彼のこころのぜんーぶが、私にとけてほしいってこと

妄想しただけで、私がとけちゃいそうよ

542「春たてば きゆる氷の のこりなく 君ば心は 我にとけなむ」(よみ人しらず)

●3月29日「まなくちるとも」

わたし、桜の散る姿って好きじゃない。
一年間あんだけ待たせた挙句、花の盛りはごくわずか

それでいて、これ見よがしにあれよあれよと散っちゃうんだもの
わざと惜しませるような作戦なんじゃない?

桜がいくら絶え間なく数の花を散らすといってもね
私の彼への思いに比べたら、ものの数でもないんだから!

590「我が恋に くらぶの山の さくら花 まなくちるとも 数はまさらじ」(坂上是則)

つづく…
(書き手:歌僧 内田圓学)

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