片敷きの袖の氷も結ぼほれ溶けて寝ぬ夜の夢ぞ短き(藤原良経)

「片敷きの袖の涙」、和歌では常套的な独り寝の情景であり、これが冬期ならば凍るというのが昨日の守覚法親王であり、既存観念の単なる延長であった。しかし良経は違う、同じモチーフを以てしてもいくらも退廃的で新古今的だ。これを成すのは「夢」の一文字。結ぼほれて(塞ぎこんで)寝られぬ「冬夜の短夜」とせず「冬夜の夢の短夜」とした。「夢」とは希望を失くした人間の最後のよすが、それさえも短く終わるというのだ。

(日めくりめく一首)

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