「初音」といえば取りも直さず「ミク」だろう。しかし、こと古典文学に至っては違うものを連想しなければならない、源氏物語で詠まれた今日の「うぐいす」の歌である。春を心待ちにする表の心情に、出自の貧しさゆえに実の娘に合うことができず、年月を待ち暮らす母親が「初音聞かせよ」、せめて声だけでも聞かせてほしいという切なる希望が込められている。源氏物語第二十三帖は、この世の春を謳歌する、光る君とは名ばかりのスケベ親父の嫌らしさで溢れているが、この歌によって情趣を回復している。
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