『近頃は花も紅葉も枝にないな~、だからもうちょっと消えないでおくれ松の白雪よ』。趣向は単純、松の枝の雪を花に見立て虚しき冬を暫く飾ろうというものだ。しかしこの歌、どこかで聞き覚えがないだろうか、そう定家の夕暮れの一首※である。天才定家は「花紅葉」の表象を「浦の苫屋」に重ねた訳だが、今日の後鳥羽院には練られた技巧というものは皆無で、単なる情緒的願望に過ぎない。ジャイアンならぬ「お前の歌は俺の歌」、決して下手ではない後鳥羽院だが、さすがに今日の横取りは目に余る。
※「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」(藤原定家)
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