鳰の海や月の光のうつろへば波の花にも秋は見えけり(藤原家隆)

今日は旧暦の8月20日
よみ人:藤原家隆 、所収:新古今和歌集

月の美しさはこのようにも表現できるのか、藤原家隆である。月の光が色づく、これだけでも耳をくすぐる描写であるが、それが浪の花つまり白浪に映り、その色に秋を見つける。風景を鮮やかに移しながら、その残像を重ねて描く幽玄の世界。これまで典型的な新古今歌を「絵画的」と評してきたが、今日の歌はとてもキャンバスに収まるものではない、また言葉ですらその姿を捉えきれないだろう。なにせ動いているのだ!  家隆、俊成女そして定家クラスになると、よほどの動体視力がないと歌のイメージは捉えきれない。

(日めくりめく一首)

→令和の古今伝授(和歌を詠み書くための会、神無月)10/27(日)9:50~11:50