五月雨に乱れそめにし我なれば人を恋路に濡れぬべらなり(凡河内躬恒)

『五月雨のように、あなたへの思いに乱れ始めた私は、小泥ならぬ恋路にはまってずぶ濡れです』。「五月雨」は「涙」の暗喩となり「乱れ」という言葉の響きも相まって恋の抒情を掻き立てる。しかし「五月雨」と「乱れ」の掛詞を私は見たことがない、この歌でも「みだれ」は言葉の共鳴が主で、あくまでも「掛詞的」扱いだ。代わりに掛けられているのは「小泥」と「恋路」であるが、これは少々無理強いで、意味が通りづらい。詠み人は凡河内躬恒、描こうとした情景は悪くないが、言葉を使いすぎて難が出だ、もったいない歌だ。

(日めくりめく一首)

和歌の型・基礎を学び、詠んでみよう!

オンラインで和歌の型・基本を学び、自身で詠み、月次の歌会で仲間と高めあう「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和七年秋号(Amazonにて販売中)