うちはへて音を泣きくらす空蝉のむなしき恋も我はするかな(よみ人知らず)

今日は旧暦の6月17日
よみ人:よみ人知らず 、所収:後撰和歌集

心身二元論をご存じだろうか? 「我思う、ゆえに我あり」の文句で知られる17世紀の哲学者ルネ・デカルトが唱えたとされるが、要するに心と体はそれそれ独立した存在であるという考えだ。ちなみに二元論を西洋的、一元論を東洋的とする論もあるが、私は意に介さない。
さて、それでいくと今日の歌などは二元論の走りかもしれない。『ずっと泣きじゃくっている。なんてむなしい恋を、私はしているんだろう』。適訳はこうだが、ポイントは「むなしき」に係る枕詞「空蝉(うつせみ)」だ。空蝉とは“蝉の抜殻”のことであって、体から魂が抜け出てしまい気力がない様を暗喩する。これは紛うことなき二元論、日本人は図らずも10世紀には心身二元論を唱えていたのだ! と思わないでもない。

(日めくりめく一首)

→令和の古今伝授(和歌を詠み書くための会、神無月)10/27(日)9:50~11:50