『花が咲いて、今日は実に春らしくうららとしている。あぁ、山の霞の奥には鳥たちの囀りが聞こえる』。どうであろう? 私はこの歌を聴くとすご~く幸せな気分になる。昨日の業平とは正反対に、ただただ幸福感に満たされる。
詠み人の伏見院は「玉葉和歌集」の編纂を命じた張本人。自身も京極派歌人の旗手として、名歌・名筆をいくつも残した。京極派歌はイコール写実主義または些末主義とも評されるが、私はそこに本質があるとは思わない。彼らの歌の価値はこの無償の幸福感、いつでも暖かく包んでくれるような色彩、音色、世界。これに尽きる。
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