ももしきや我が九重の秋の菊こころのままに折て挿頭さむ(後醍醐院)

菊は四君子のひとつに数えられ、中国のみならず本朝でも格別に愛好された。重陽の節句では花を飾り、また花びらを浮かべた酒を飲んで邪気払いと長寿を祈願する。今日の歌もそんな風習を下地に詠まれたものだろう。ただ「挿頭す」という一文に風雅が見える、源氏物語「第七帖 紅葉賀」だ。若き日の源氏は紅葉散りかう中、ほの紫に染まる白菊を冠に挿さして青海波を舞った、作中でも優美を極めたワンシーンである。これを破格の荒ぶる帝王、後醍醐院が詠んだというから面白い。

(日めくりめく一首)

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