花はとうに散り失せた、しかし花を求める心は消えるのを止めない。求めてしまう、花のありかを、美しく咲き誇った白雲の花を。うわの空に夕暮れが落ちてゆく、春の終わりを告げるように。
「夕べは秋となに思ひけむ」という歌があるように万物が朽ちる秋の夕暮れこそ格別の寂寥とされてきた和歌にあって、ここでは夕暮れが春に付けられている、私意がなくては詠まれない歌だ。つまり作者にとって、花とは心を占めるすべてだったのだ。そして花はそのまま春であり、春の終わりを夕暮れが染める。季節はいよいよ巡るというのに、なぜもこんなに虚しくさせる。
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