既視源氏物語 ~古今集恋歌の光る君~ その26「秘密は白日の下に」

670「枕より 又しる人も なきこひを 涙せきあへす もらしつるかな」(平貞文)
674「むらとりの たちにしわか名 今更に ことなしふとも しるしあらめや」(よみ人しらす)
675「君により わかなは花に 春霞 野にも山にも たちみちにけり」(よみ人しらす)
676「しるといへは 枕たにせて ねしものを ちりならぬなの そらにたつらむ」(伊勢)

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あの夜々を知る人はいないはずなのに

禁断の恋は宮中だけでなく、野山あまねく知られるところになった

恐れていた最悪の事態

しかし私は自分でも驚くほど冷静だ

男と女の間にあるのは恋だけである

私の恋など、数多の恋物語の前では塵に等しい

どうせ消えゆく恋ならば

いっそ激しく燃えてみようか

(書き手:歌僧 内田圓学)
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