670「枕より 又しる人も なきこひを 涙せきあへす もらしつるかな」(平貞文)
674「むらとりの たちにしわか名 今更に ことなしふとも しるしあらめや」(よみ人しらす)
675「君により わかなは花に 春霞 野にも山にも たちみちにけり」(よみ人しらす)
676「しるといへは 枕たにせて ねしものを ちりならぬなの そらにたつらむ」(伊勢)
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あの夜々を知る人はいないはずなのに
禁断の恋は宮中だけでなく、野山あまねく知られるところになった
恐れていた最悪の事態
しかし私は自分でも驚くほど冷静だ
男と女の間にあるのは恋だけである
私の恋など、数多の恋物語の前では塵に等しい
どうせ消えゆく恋ならば
いっそ激しく燃えてみようか
(書き手:歌僧 内田圓学)
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