雪埋む園の呉竹折れふしてねぐらもとむる村雀かな(西行)

昨日、一昨日で分かるように和歌で「折れ伏す竹」とは降雪の甚だしさを象徴する。実はこの発想、比較的新しく玉葉集のころ盛んになった。実のところ「竹」自体が和歌の当たり前の風景となったのが玉葉集といえよう。加えて今日の歌、なんと「雀」が詠まれている。鶯、ホトトギス、雁… 和歌ではもっぱら折々の渡り鳥 (鶯は漂鳥) こそ好まれ、情趣を欠いた日常平凡な雀など目も向けられなかった。この個性はやはり集たる玉葉集そして詠み人の西行あってこそだろう。定家からは雲烟万里の感があるが、西行から江戸俳人、たとえば一茶※はもはや隣人だ。

※「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」(小林一茶)

(日めくりめく一首)

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