降ればかく憂さのみまさる世を知らで荒れたる庭に積もる初雪(紫式部)

その日記を読んでも分かるが、紫式部という人は常に鬱々としていたようで歌にも気分がそのまま表れている。彼女の歌の評価が低いのはいかにも和歌らしい四季や恋を詠まなかったからであろう、どうにも陰鬱でこちらの気分まで滅入ってしまうのがほとんどだ。『降ればいっそう憂鬱になるのを知らないで、荒れ果てた庭に初雪が積もる』。詞書には「思ふこと侍りけるころ」とあり、ただでさえ物思いに耽っているのに、なんで雪までふるの! と今日も彼女一流のぼやきが冴える。

(日めくりめく一首)

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