跡もなき末野の竹の雪折れの霞むやけぶり人は住みけり(藤原定家)

『雪折れの竹に覆われた野のはずれ、人が通ったような足跡もない場所から煙が上がっている。ああ、あのような辺鄙なところにも人が住んでいるのだ』。定家には珍しく隠遁風雅を詠んだ歌、しかし本人はあくまでも都人で隠者の生活を好奇の目を以て眺める、そんないやらしさが先に立つ歌だ。しかし住めば都、詠まれた隠者は悠々と住んでいたに違いない、人は来ぬとも「しかぞ住む※」だ。

「わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり」(喜撰法師)

(日めくりめく一首)

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年冬号(Amazonにて販売中)