真木の屋に時雨の音の変はるかな紅葉や深く散り積もるらむ(藤原実房)

今日のような風流は、詠んでいい人間を限定する。『真木で葺いた屋根に降りしきる時雨の音が変わった、どうやら屋根の上に紅葉が散り積もったようだ』。「真木」とは檜や杉のたぐいで、ようするに立派な屋根の別荘だ。ちなみに三夕に見える浦の苫屋の「苫」とは菅(すげ)や茅(ちがや)などの草を編んだもので、言ってしまえばただのボロ小屋。詠み人は藤原実房、正二位の左大臣であって成せる風情。こいうのも悪くない。

(日めくりめく一首)

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