桜花けふよく見てむくれ竹のひとよのほどに散りもこそすれ(坂上是則)

今日の詠み人は坂上是則である、その氏名で分かるとおり征夷大将軍「坂上田村麻呂」を祖先に持つ。田村麻呂は大納言正三位まで昇ったが、是則は従五位下とかろうじて貴族の面目を保った。これは家持や貫之にも共通することだが、8~9世紀の藤原の勃興によって、かつての大氏族は歌という文芸によってなんとか地位を獲得した。しかしそのポジションですら10世紀頃には藤原氏の亜流に奪われてしまい、歴史からその名を消してしまう。貴族生活が優雅なんていうのはまったくの妄想だ。
さて前置きがながくなってしまったが丁度いい、歌は「桜が散って一夜で竹の一節まで散ったら困る」という、まあいわゆる凡作だ。ただ桜と竹の組み合わせは面白い。

(日めくりめく一首)

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