枝ながら見てを帰へらむもみぢ葉は折らむほどにも散りもこそすれ(源兼光)

今日の歌、詞書によると殿上人(貴公子)たちが紅葉狩りで詠んだとある、場所は先日もご紹介した「大井川」だ。『枝の紅葉はそのままにして帰ろう、手折ったために散っても困るから』、さすがはやんごとなき貴公子、卑賤の者、例に出して恐縮だが素性法師などは袖袋の中にもみじ葉を入れるだけ入れて持ち帰ったものだが※、今日の歌はそのままにして帰る余裕がある。ともすれば我々も、せっかくの紅葉狩りにスマホで写真ばっかり撮っていないだろうか? やはり平安のプリンスが如くその場の紅葉鑑賞に集中したいものだ。

※「もみぢ葉は袖にこき入れてもていでなむ 秋はかぎりと見む人のため」(素性法師)

(日めくりめく一首)

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