月影は森の梢に傾ぶきて薄雪白し有明の庭(永福門院)

『月は森の梢に傾くまでになって、薄雪が白く光る夜明けの庭』。月と雪、冷冷たる冬の組み合わせであるが、永福門院が歌えば柔らかくほの暖かさえ感じてしまう。それは薄雪と有明のしわざだろう、まだ冬になり切れていない薄積もりの庭、落ち行く月影の空しさより朝焼けの期待が募る。見事な観察眼であるが、少々美麗が過ぎるかもしれない。

(日めくりめく一首)

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年冬号(Amazonにて販売中)