大井川洲崎の葦は埋もれて浪に浮きたる雪の一群(宗尊親王)

冬の大井川を歌に詠んだらどうなるか、それが今日の歌だ。さすがに紅葉はとうに果て、雪に埋もれた葦と川浪に漂う塊となった雪が見えるばかり、特段面白い様子にも思えない。単なる写生であろう、しかし写生がそのまま歌にはなりえない。目の付け所、その奥義にこそ歌人の力量が見て取れる。今日の歌は「静」と「動」の対比だ、不動のまま鎮座する葦と悠々と流れゆく雪、この違いに宗尊親王は目を見張った。

(日めくりめく一首)

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