冬枯れの森の朽葉の霜の上に落ちたる月の影の寒けさ(藤原清輔)

家隆そして俊成卿女を見た後ではいささか物足りなくもあろう、藤原清輔の冬の月である。新風甚だしい新古今歌人らは度を過ぎて酷寒の大景を求めたが、清輔はというと月、その美しさのみに焦点を絞って繊細なワンカットを写し取る。なるほど目を引くインパクトは乏しいかもしれない、しかし心に染み入ってくるのはどうしたって清輔の月だ。後の京極派を新古今の亜種と見る向きもあるが、個人的には清輔歌風の血統の方がうんと濃いように思う。

(日めくりめく一首)

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