さこそわれ萩の古枝の秋ならめ本の心を人のとへかし(阿仏尼)

昨日の歌はよほど胸アツだったのだろう、躬恒からおよそ三百年後の女性がこんな本歌取りをしている。『私はよっぽど萩の古枝よ! なんで本心を聞いてくれないの!?』。採られたのが風雅集というものあるが、四季歌の範疇をはるかに越える激烈な恋歌である。詠み人の阿仏尼といえば藤原為家の後妻として知られ、その年の差は二十をゆうに上回っていた。しかし今日の歌など見る限り、為家はほとんど阿仏に手玉に取られていたことだろう。

(日めくりめく一首)

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年冬号(Amazonにて販売中)