今に残る宮中祭祀で最も大切なものをご存じだろうか、新嘗祭である。記紀神話にも記録が残り、収穫の感謝と五穀豊穣は、国を平らげる天皇として極めて重要な祭祀なのだ。ということもあり、歴々の天皇は「稲」や「田」といった高貴な身分には一見相応しくない農村の風景を歌に詠む。有名なのは天智天皇による百人一首の一番歌※であろう。今日の歌は花園院、稲葉と紅葉の色をグラデーションして風雅集の歌風も冴えたる堂々たる一首だ。
※「秋の田の仮庵の庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」(天智天皇)
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