雨降れば笠取山のもみぢ葉は行きかふ人の袖さへぞ照る(壬生忠岑)

よみ人:壬生忠岑 、所収:古今和歌集

笠取山は宇治の歌枕であるが、標高も低く周囲の山に隠れて目立たない。ではなぜ歌に詠まれるかと言えば、理由は名前にこそある。『雨が降ると笠取山の紅葉の葉は、往来する人の袖の色までも照りまさる』。歌の解釈の前に、前提をお伝えしよう。昨日ちらりと話した「時雨(秋の雨)」だが、これによって“紅葉が色づく”というのが和歌の基本ルールだ。であるから今日の歌は、紅葉を染める時雨が降る笠取山は、その名のように往来する人々が笠を取るので、袖までも紅葉のように染まってしまう、という解釈になる。古今集の歌にある快感は、パズルを解いたときのそれと全く同じだ。

(日めくりめく一首)


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