立ち上り南の果てに雲はあれど照る日くまなきころの大空(藤原定家)

昨日に続き、真夏の定家である。『水平線の彼方、南の果てにはどでかい入道雲。あいつはそこに居直って、ほとんど動かない。今日も真夏の太陽がジリジリ照りつける』。これは和歌だろうか? おぼろな水墨画の陰影、これこそが和歌の美であったはず、しかしこの歌にはゴーギャンのごとき極採が描かれている。その実、昨日の歌も含めて定家のサマータイム・ブルースなのだ。牢乎たる伝統への孤独な反抗、それを玉葉集が奇跡的に拾ってくれた。

(日めくりめく一首)

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