空清く月さしのぼる山の端にとまりて消ゆる雲のひとむら(永福門院)

今日の詠み人は永福門院。何気ない日常の風景も、ひとたび彼女にカットされれば見たこともない多様な色彩が潜んでいたことに気づかされる。しかし今日の歌はどうだろう、月と雲の馴染みが悪くいつも見られた繊細な色合いが浮き出てこない。それは秋の空が澄みすぎているからだ。水蒸気が少ないクリアな空は月明かりをいっそう強くすれ、そこで消える雲のひと群なんてのはほとんど気にならない。永福門院が披露する色彩のマジックは、水蒸気という朧のベールがあってこそはじめて可能だったのだ。

(日めくりめく一首)

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