秋風の吹きにし日よりひさかたの天の河原にたたぬ日はなし(よみ人知らず)

秋風は「秋」という季節と同時にあることを知らしめる、「七夕」だ。言うまでもなく七夕は旧暦七月七日の夜、牽牛と織女が年に一度の逢瀬を遂げるという古く中国から伝わる物語である。これが新暦で行われるようになって多くの人が七夕を夏の風物と捉えるようになった。また新暦のこの時期にはたいてい分厚い梅雨雲がかかっており、天つ牽牛と織女は会えないことが多くなってしまった。暦の違いが文化の違いを生んだ最悪例といえよう。 さて今日の歌は、『秋風が吹いてからというもの、天の河原に立ってあなたを待たない日はない』と、「立つ」の縁語として秋風と河原が合わせて詠まれているのがいかにも古今集らしい。

(日めくりめく一首)

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