今日の歌にも詠まれているが、秋といえばあらゆるものに置くのが「露」だ。ところで主題が変わったことに気づいただろうか? 昨日までは「荻」で今日のは「萩」だ。「くさかんむり」の下が前者は「けものへん」、後者は「のぎへん」であるが、かなり紛らわしい。こんな時、和歌の約束事が役に立つ。大抵の場合風に吹かれるのが「荻」で、露に弛むのが「萩」になる。今日の歌などもその典型だ、『毎朝、露が置いて重そうな萩の枝に、我が心までも掛けてみようか』。掛ける心とはむろん恋心、露など比べ物にならぬ思いを垂れ下げてみれば、その枝など容易に折れてしまうだろう。一見心に余裕のある歌にも聞こえるが、その実萩の枝にさえすがろうというのだからいじらしい。
和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中! |