ここ数日、意味深のホトトギスが続いたせいだろうか、この歌には心地よい脱力感を覚える。『寝覚めると月が残る空にホトトギスが鳴いている。起き出でて、その名残の声を聞くとしよう』。この歌に見える有明月には恋の匂いなどまったくない、ただ目覚るままに、目に飛び込んできた朝の風景。しかし月は衰えてみえる、夏の太陽が日に日に勝るのだ。なるほど、ホトトギスが鳴くのもあとわずか、その名残をしっかりと聞いておこう。なんともゆったりとした調べである。しかしこのような歌ならぬ歌は、八代集にはほとんど見られない。それでもやはり和歌であるのは、歌に有閑の風雅があるからだ。
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