夏と秋と行きかふ空の通い路はかたへ涼しき風や吹くらむ(凡河内躬恒)

古今集歌人において、貫之を横目に女性ファンから圧倒的な人気を集める凡河内躬恒。個人的には凡作が多い印象でそれほど感心しないのだが、時折目の覚めるようなメルヘン世界を爆発される。これに魅了される人がいて決して不思議でない。
今日の歌も間違いなくその一首、なんたって空に『夏と秋の通い路』があるというのだから。夏と秋は接吻を交わすように入れ替わりをみせる、それは束の間の夢。季節の流れは一方的で、留まることは叶わない。明日は立秋、二人は出会いの刹那別れねばならぬ運命なのだ。後にも先にも、このような官能的な四季の移ろいを描いた歌人は躬恒以外にいない。

(日めくりめく一首)

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