埋れ木の花さく事もなかりしに身のなる果ぞ悲しかりける(源頼政)

花の文字が見えるが季語にならない、埋れ木となって果てる我が身を譬えた源頼政の辞世歌だ。頼政は平治の乱に平家方として加わり清盛政権において従三位に昇った。しかし源氏の魂は朽ちず以仁王を伴って挙兵、宇治川の戦いに敗れ、最後は平等院で自刃に散った(平家物語「宮御最期」)。ゲンジボタルの名はこの頼政に由来する、頼政無念の魂が蛍に成り代わったというのだ。おそらくこれは正しい、そうでなければ涙まで流れまい、妖しい虫の飛び交う光に。

(日めくりめく一首)

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