冴えわびてさむる枕に影みれば霜深き夜の有明の月(俊成卿女)

よみ人:俊成卿女 、所収:新古今和歌集

新古今歌人の代表格は定家かもしれないが、その歌風を極めたのは家隆そして俊成卿女であろう。『霜深い夜。凍てついた枕は氷が張って、有明の月影が映っている』。枕に張った氷は言うまでもなく己の涙である。愛する人間に裏切られた慟哭の涙、そこにまたしても有明の月がピリオドを打つ。デカダンス! 家隆そして俊成卿女、彼らほど心に刃を向けた歌人を私は知らない。そしてこれが「四季歌」に採られたことに、私は常識を打ち破られる。

(日めくりめく一首)