入日さす峰の梢に鳴く蝉の声を残して暮るる山もと(二条為世)

蝉は恋歌で詠まれこそすれ、四季歌で詠まれることはほとんどない。それもそうだろう、ミンミンゼミにアブラゼミ、暑さを掻き立てるあの大音量が風雅にそぐうとは到底思えない。とはいえ今日のような歌もある。『夕日が差し込む峰の梢で鳴く蝉、その声をほのかに残して、山のふもとは日が落ちてゆく』。ご想像のとおり、ここで登場する蝉は蜩(ひぐらし)だ。カナカナカナ、山々に響き渡る優しい音色は夏の夕暮れを印象的に染める。詠み人の二条為世は二条派の宗匠であるが、ほとんど京極派好みの歌に仕上がっている。

(日めくりめく一首)

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