うちしめり菖蒲ぞ香るほととぎす鳴くや皐月の雨の夕暮れ(藤原良経)

昨日に続いて良経の菖蒲である。そしてこれこそ後京極摂政良経、渾身の一首である。
まず詞(ことば)、二句で切れて三句目で場面を転換、間髪入れずに四句目を倒置している。かつ結句を上下両方の情景に関係させ一首を統合、巧みな構成力によってえも言われぬ恍惚のリズムを獲得している。そして心、菖蒲が放つ強烈な臭気と切望を誘うホトトギスの声、これを夕暮れの雨に重ねて、咽び悶える偲ぶ恋を描いている。なんと激烈な歌だろう。これは悪魔の歌だ! 少なくとも私は、この歌を聴いた瞬間から頭を離れない。

(日めくりめく一首)

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