和歌・短歌の作り方

和歌は日本の伝統的な詩歌で、古代から平安時代そして現代に至るまで多くの人々に愛されてきました。和歌を詠むことは日本文化の深層を理解し、自然や人間の感情を美しく表現する手段です。しかし、初心者にとっては和歌のことばや表現技法が難解に感じられることが多いでしょう。
ということでこの動画では、われらが偉大なる先達、藤原定家師匠の教えをもとに、和歌を詠む初心の心得をお話ししました。

歌づくりに悩んだら… まず一歩を踏み出す

まず景気の歌とて、姿・詞のそそめきたるが、何となく心はなけれども歌ざまの宜しく聞きゆるやうをよむべきにて候

「毎月抄」藤原定家

初心のうちはとにかく悩まず、拙くとも歌を作ってみることが重要です。文法やことば使いなど完璧を求めすぎると、詠むこと自体が苦しくなってしまいますから。その際のポイントは、趣向や詞づかいをちょと工夫した、無難な叙景歌を詠んでみることです。また歌で伝えたいこと、「こころ」を下の句に置くと歌全体のバランスが良くなります。
和歌の主題の基本は「無常」です。移り変わりゆく森羅万象に、自分の心情を仮託するのが和歌だと心得ましょう。

<趣向・着想の例>

例えば「桜の花」が散る様子を見て、それに関連するいくつかの着想を思い浮かべます。そこに「花に儚い夢を重ねて、花びらが散る様子を詠む」、「花を無くした枝の隙間から見える青空を詠む」、「一面に咲く桜を雪に見立て、季節の移り変わりを感じる心境を詠む」、「花がひらひら舞う時ののどかな感覚を詠む」などさまざまな心を表現してみましょう。

ことばの選び方

所詮心と詞とを兼ねたらむをよき歌と申すべし。心詞の二つは鳥の左右の翼のごとくなるべきにこそとぞ思う給へ侍りける。ただし、心詞の二つをともに兼ねたらむは言ふに及ばず、心の欠けたらむよりは詞のつたなきにこそ侍らめ。

「毎月抄」藤原定家

和歌は「あはれ」の文学です、「余情(あまりのこころ)」の文学です。ですからなにより「有心(こころある)」歌がいい歌になります。まず「こころ」があって、「ことば」で表現するものと心得ましょう。

「ことば」には悠久の時間を経て磨き上げられてきた、和歌のことばを使います。それはすなわち「やまと言葉」であり「歌ことば」であり、基本的な文語表現です。これを強弱・大小を持たせ、印象を強く三十一文字に表現するのです。掛詞や枕詞などの修辞法は、使いどころにより「和歌らしく」なりますが、反面陳腐な歌になっていないか気配りが必要です。

古歌に親しむ

自分の詠んだ歌がはたして「和歌になっているか」、初心のうちは判断できないでしょう(それを的確に指南するのが「歌塾」という学びの場です)。これを明確に判じるのは、連綿と詠み継がれてきた「古歌」です。詠んだ歌が良い歌であるか、これはひたすら古歌を鑑賞し学んで“審美眼”を養うしかありません。

古い歌を学ぶことに苦痛を感じる方もいるかもしれません。しかし古歌を学ぶことで、わたしたちには素晴らし恩恵を得ることができます。それは「本の心」すなわち、歌道における「美学」を知ることができるのです。先に「趣向・着想」の話をしましたが、これを個人的な思い付きで得るのではなく、「歌」の方から得ることができるのです。

(書き手:内田圓学)

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