絶句連歌「身を知る雨」


去る6月24日に催した「古今伝授と連歌(水無月の会)」において仕上がった、絶句連歌をご紹介します。
※「絶句連歌」とは、漢詩の絶句さながらに「起」「承」「転」「結」の四句からなる、和歌所オリジナルの連歌形式です。基本的な付け方、転じ方は連歌の心そのままに、気軽に楽しめるのが特徴です。
→「絶句連歌の作品一覧

題「身を知る雨」

■例
発(起): 五月雨は 問わねど聞ゆ 声のやう
脇(承): 落ちる涙は つゆぞ止まらぬ 
第三(転):待ちわびて はやぞ食いける 冷やし蕎麦 
結(結): 音は立てまじ 密かなる恋

■一の折
五月雨の 空に問ひける 恋心
うすくヒカルは 星か蛍か
夕闇の 深くなりせば 目に見ゆる
袖重なりて 有明の月 

■二の折
五月雨に 鳩の声する 朝寝かな
虹のかかりて 恋の渡らん
かたつむり あじさいの葉に やすむれば
雨もやみなば まへまへつぶり

■三の折
五月空 雨の名残も 消えぬころ
泣けとばかりに 鳴くほととぎす
ひと時を 珠のの型にて とどむるや
何をか映じ 挙ぐ久遠まで

■四の折
あじさいの たまにそいたる かたつぶり
君の来るのを 待ちわびるかな
雲絶えて 夕立過ぎぬ 乾くそで
二度とひじまじ わが薄衣

■五の折
夏の夜に 舞うは天より ふる珠か
闇に流るる 一筋の光
庭にいて 篝火似たる 恋心
七夕の日を 待つ星々

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