ML玉葉集 秋部(文月)


短歌ではなく、伝統的な「和歌」を詠むことを目指す和歌所の歌会、
そのご参加者様の詠歌をご披露させていただきます。
※2018年7月はおよそ二百五十首の歌が詠まれました

ご参加者様のほとんどが、和歌所の歌会で初めて歌詠みとなられています。
それでも素晴らしい歌が詠めるのは、無意識にも私たち日本人に「日本美のあるべき姿」が宿っているからです。歴史に培われた日本文化とは本当に偉大です。
私たちと一緒に和歌の詠歌、贈答、唱和をしてみたい方、ぜひ歌会にご参加ください。
歌会・和歌教室

ながめしは雲の絶え間の夏光 ふるいろいろのことを磨きて
星合の橋難けれど川を越え 淵の織姫に告げよ鵲
月の舟安の渡りにとどむれば 君に会はれむ秋は立たねど
ちはやふる神とまごいし技競う 難波津に寄る四方の星々
恋しくば鵲に頼まぬはやぶさや 天の川越え わたつみを越え
おもひのみなほも尽きせぬ水無の空 雨と触れるを音に聴かばや  
郁李(にわうめ)の花色ほどの星ひとつ かじの音待つ繻子の夜は更け
天の川漕ぎ急ぎたる櫂のちり 夕べ降り来る雨となりぬる
思い出を打ち上げ眺む天の川 いつまで待たん星の渡りを
天の川連なる千のかささぎよ 流星のかなたへ遠くかなたへ
満天の流星群よりこぼれまい なほ燦燦と輝け我が織女星
反り橋の板一枚しずしずと 超えぬる先ああ七夕の月のもと
星祭り逢はで過ぎぬる一年は 思ふ丈知るはかりなるかな
星祭り千年にまがふ一年は 深き思ひの標なりけり
天の河畔に還す波の音 羽根に任せて共に聴かばや
小余綾の瞬く星の玉響 急がず渡れ天の川波
門の木の露のたまづさ梶の葉に 運べや星の言繁くにも
さびしさの果てなむ逢ひか彦星の なだ照りまさり雲井すゞしき
雨籠る輝く日の宮しのび泣く 女御に寄せて古琴爪弾き
なみだがは見えぬかたとてわたさまし こよひかぎりのかささぎの橋
残業の窓より聞こゆ雄叫びに 手をとめるたび増すロスタイム
いつの間に棚機津女となりぬらし ただ「かさ」さぎの音を待つ袖に
ひととせの星合の日は美空にて 嬉しき逢瀬とはにといのらむ
天の川月のお舟で漕ぎ出ば 寄せてはかえす星の千々波
牽牛の七夕の夜はどしゃ降りに 織女に逢えず無念の涙
月星夜天の河原に生う芦を 刈るれば聞ゆ海女の歌声
難波津の古歌にも詠める網引きすと 聞ゆ歌声これは難波女
彼の岸は十五光年隔つとも 迅る想いは一夜に渡らむ
言繁き星に言はばや梶の葉の 恋は一夜にかれゆくものと
夜汽車にて絵文字で交はす 情ありいずれを言の葉とこそみん
おもひのみなほも尽きせぬ水無の空 雨と触れるを音に聴かばや   
銀弦長韻已満路 輕羅和笛乗流風 京橋夏色涼如水 但坐古楽歌舞堂
久しかる夏の水雨うち錘り 星も浮かばぬ五月雨の頃
五月雨に来依る星波見まく欲り 吾は為れとも風こそ依せね
蝉羽月言ノ風吹きて雲鳴せば 起くに忽ち雨や光れり
見も非ず見せもせぬ星恋しくは 夏も晩夙照り変はりぬる
一刹那つつ闇に知る静けさの 事無しびくも何と雅か
五月雨や斑れに降ると見るまでに 流らへ散るゝ夏の星ぞも
此の頃の五月雨る宵の気暗きも 夏は艶めきなでふこと無し
今し降る夏の夜な夜なさ水垂るは 障み留まりし御井の真清水
主殿の伴御奴余所にして 祓はぬ庭に星ぞ散り敷く
殿守の伴御奴心あらば 此の宵ばかり一夜寝にけれ
乱れゆく雲間によわき星影の 水暗き夜は涼しかりけり
星許を夜道求めて来てみれば 夏衣濡ぼつ袖に音つゆ
百敷の夏の草露映りしは 月も涼しき見らくし良しも
星光り事足りぬべき夜空なほ 向ひの丘に道奥の月
星明かり積る銀夏雲の 彌開く天宣夢殿
知らさるゝ星の巡りの光り譜 夏夜玉響る天空櫁
暇毎の雨は光りて風立ちぬ 朧月夜に星鳥羽振る
神名火の神子は鳥なる船団に 弥帆は玉裳の潮満つらむか
高煌る大船どもを欹てて 荒南風立つか待ち悦ぶる
神達て白帆厚肥ゆ水こをろ 星波翔る天鳩船
神輿なる天鳥船鳴る雷の 御綱之助は濯ぎつるかな
鳥船や軋ひ競ろひ余勢あり 星の煙りは玉のうてなに
波頭来居る影媛玉ならば あやに畏し鮑白珠
清に照る射白らますかな真珠星 星き鳥とも思ほゆるかも
夏雨は玉の音星踊り謡 光りさ乱る嬉々樂々綺璃羅
弱竹の末は足しても月わけて 扇を執りて舞ってみましか
白に拍く天飛足し足し曲に舞ふ 和歌乃前ふる島之千歳
黴雨星は積もるも見へず影となり 空しき音も心美しもに
見上げれば雲井漏れ来る雨鳥は 謡ひながらに御諸を建てる
涼やかな森の暗きの遠近に 雨の星鳥鳴きて遊ばむ
麗しきかるの嬢子甚鳴かば 人知りぬべし下鳴きに鳴く
ゐつ柴の厳ゐ玉影よせ吹けば 扇に夏の幸ひ閃く
ほうほうと可笑しく呻る主聲は 雨の浮き木の昼隠居か
父食はほほやほほやと始むれば くゐくゐ応ふ母食かな
晴れ時はノリスリオケと鳴けば良ひ 今宵此の刻ノリトリオケよ
神鳴るゝ雲を割きては鏡為す 月夜黑めく呂の三三四五
金春の産みます光ひも照れば 夏越しを祓ひいさ祝ゑとも
幸す所々影に揺れ初めて その歌舞ひは夜や厭わず
散り散りに夏夜やうやう流る星 ぴゐと一線天金の鳶
甲矢乙矢乱れ遇ひては隠り鳴く 三脚鴉の調べは蹈歌
三足烏瑞の玉なる艶聲は 恋に漬ゆ目く紅の頬色
奴婆多麻能八汰の烏はたけば濡れ 玉揺る羽根に光かすめり
冠は漬ちて濡れけむ鳥冑 八咫之烏は派やの風流士
唐臼星音羽の森に謠ふ影 枝を交わせよ今宵奉れと
歌に酔ひ光り震へて音に泣く 頤落つは五月雨の星
穂見月やたんだ此の月刈薦の 乱れば乱れさ舞ひさ舞へば
み空行く星の光に雲解けば 来べき夕なり今宵徴しも
天貴き治まれる夜のゐくみ影 真砂のどなる星合ゐの空
高き屋に登りて見れば七夕の 夏の星々賑はひにけり
七夕や昼居る雲も失せゆけば 春夜夏夜の三角二つ
白鳥と鷲の比翼は連なりの 琴音に乗りて三つ角を描く
昇り矢は鷹護田鳥尾の鷲の星 和の雨覆ひ破鱈の光り
琴の音は乙女の飾し敷きませる 花色星のにほひはもあなに
遊士をや蘰の為と金色の 天のはたてに早輝にけるかな
高き家に君と登れば星の国 稀有に細れし天ノ河なり
てかくこと大し三角夏空に 天河隔つ星の二つも
天ノ川ゆく瀬の早みしましくも 淀むことなくあり越せぬかも
姫の織る星は五色に咲きほこり 棚機たくみ辷る様なる
黄金なる牛飼ゐノ彦麦星は 稔りの穂積夏夜をさゝふ
七夕や逢へりし君を恋ひにてし 鵲架かり迎へけらしも
鵲や待ちとる方の汀より 星の光りに色ぞ添ひゆく
射し出づる影に千種の色見えて 今宵染めける夏の天川
夏草の逢ひ寝の浜に寄する波 迎へを行かむ待つには待たじ
光り逢ひ音無く婚ふ二世の縁 花は情けの夜に咲く星
天飛ぶや星も埋めぬ夏の涅 志奴比々々々て倚り寝て通れ
くはし星逸くは愛でず今日こそは 安く肌触るさ寝しさ寝てば
緯うすき肌にも透きて影浮かる 星の明りの何か淋しき
朧げな穂含之月の光りもて 薄し夏衣それとも見へず
銀漢の入江の蓮星蓮 ふたりと燁る羨しきろかも
天の河瑆り流るゝさざれ星 君し踏みてば玉と拾はむ
一年の天の逍遥標野に 雨は降つも星を見せむと
もながるゝ沢吹く風の聲為なり 調べ待ちへて天乃川星
二つ文字牛の角文字直ぐな文字 ゆがみ文字とぞ星影に問ふ
あしひきの夏山に降る玉梓は 雨の歌屑撒けど失せぬる
儚くて過ぎにし方を数ふれば 影にこと問ひ夏ぞ経にける
小竹が根の糸の綾なる白妙や 網引き手繰りて星の一つを
怪しからぬ雫く水星蠍座す 七夜月夜のさやかの煜り
東の水曲に集く蟹の眼は 夏の赤星心宿なり
撓むればうち撓むほど紅に 夏の明かりは豐の年なる
麦星や見るに楽しき夏風は あさみ涼しく稔り待つかな
天騎射の放つ光矢憂きの星 川の辺りの危ふげなれば
蠍方日の経に座す六つの星 川瀬を銜む柄杓なるかな
夏の番役と弓張り候ふは 毒刺し斎はむ射手の星なり
蠍踏む蛇の遣ひ手実は医師 掟違へて雷に召す
外つ国の天ノ烏は弁の役 羽根は銀調べを語る
主人なる神の恋する乙女あり 行きつ戻りつ仲立ち招く
障りあり神に問はれし戸惑ふも 乙女に咎をうつし遁るゝ
噴つむに神のあやめしその乙女 はらみ給へり子に驚きぬ
その吾子は幸けく居まして恙み無く まゝ生ひ優り医師なりける
口縄は万歳しるす古の 医師所縁は蛇の遣ひ手
神の知る罪す烏丸は戒めに 語りを無くし黒染め括る
而して黑母衣烏南の 空に釘打つ哀れ星なる
遁る星さ弥る鵠や白栲の 手弱腕か細弱照るゝ
太鼓打つ冠煌る円半ば 愛で逢ふ空の奉り星
菱かたの琴音愛づるは魚鹿星 雲居起ち来も光り入浮く
貴知るや琴の調べの星ノ譜 今ひと弾きて問ひし君はも
彼岸の早瀬を掬び吹き来ませ 便り待ちつる哀しき琴音
筒闇の空の櫁なる星々は 物を語りて夜毎謌舞ふ
並びなき光りきとかご経巡り 常闇安き永遠の連星
影をもて空見を為せば畳はなる 渚に枢星の楽譜府
太虚を巡り行きては空みつゝ 倭に降りる天磐船
八隅知し我ご大君の高照らす 茂みさび立てる青夜香具山
雲居にぞ名ぐはし弥る香久山は 山錆び坐す雅楽寮府
奇くも曲を伝へる雅楽寮 ゆほびかなりてこと所似ず
風薫る今時知らす節調子 夏の調子は黄鐘調
たち姿神の御手持ち吹く風は 千種の光常世にもがも
音は透き風に変はりて四じ巡り 光と影の色の星なる
星の聲風を便りに手繰へてぞ 笛音の誘ひ調べに派遣る
古の笛の音色は藁草履 仰ぎて聴けば恋ひてしあらむ
知る知らぬ國風る謌舞ひ靈うてば 象なき遊び心に訴ふ
遥々にを望けまして星数ゑ 吾妻遊びを謡ひたまはく
よしや謡昔の舞ひに敷きぬとも 掛からむ後の何かかはせむ
天高く星また星と見ゆるまで 譜舞ひ重ぬ星よ五月雨れ
仕舞ひには星三種なる神楽歌 朝に謡舞ふ神あがりの謌
謌初のくはや此処なる明星は 朝吉々利々千歳に榮ゆ
蹈こき日よや起きませ得銭子 檜葉を手折りし明けの標しと
木綿作る信濃の原にや朝尋ね 汝も神ぞや遊べや遊べ
奏つ夜の畏みつゝも啻に鳴く 夏に感けて音に喜ぶ
簓方雲の錦を解き放けて 数多は舞はず唯一夜のみ
昔とて逝きて遠くの夢なれど 影や常なる星の謌垣
朝立ちて高嶺の月も冴えかへり 昇るも消ゆる楽譜寮府
梅雨明けも覚ゑず夙く然ばかり つれなく過ぎぬ松風の月
何れ憂き明けゆく磯の夏の夜も 伊那佐立ちては朮焼くかな
何と無し漫ろ可笑しき空なれど 風の吹き分けおぼめかしきに
日盛りにおぼおぼしくもとの曇る 影見ゑ難き雲間待つかな
空に雲海も分からぬ色合ひに 梅雨明けなるも小濁りかな
夏の陽も雲に消えにし不如帰 見らく少なき一声もなく
空蝉や梅雨明けに鳴くその声も 迎ゑの黴雨と聴くぞ哀しき
蓮葉の上も破れ破れ夕間暮れ 細かに灌ぐ戻り梅雨かな
野分立ち俄かに寒き風なれば 急なる氷雨凄まじきかな
図らざる七月の甚雨はらめくは 折り節降つ車軸の如し
大雨は俄か日に日に時也て 勢ひ猛はゐとほしきもの
常も無き言ふ甲斐無しと術なしは 世に荒くまし篠突く雨よ
然てだにとゐのちと頼む他事なうも 見ゑては見ゑぬ夏引きの絲
来し方も行く先も無く放らかし 汀勝りて繁吹き雨散る
いと憂しや我にも在らぬ様しては 時に過ぐれば雨止めたまへ
沛雨なる仇に果敢なき身を知れと 降りて教へる神の俳優
時しも雨夏やは人の別るべき 瀬戸を見るだに悲しきものと
今はただそよその事と独りごつ 流るばかりの一雨為れど
憂き雨よ零すがごとに降り果てぬ 落とし溢ぶすな二無き生命を
然ればこそ野分けの後の旱とは たんだ弱りに弱る命だに
家にても揺蕩ふ命動もせば 奥処知らずの波の浮き身と
禍事の叛かれなくにゐ廻むるは 云ひて虚言譬へむ方無し
如何にかは誰そ彼時に在るべきを 聲なき影に音をぞ泣きつゝ
呼び響む死出の田長か荒山に 人し寄すれば寄そるとぞ言ふ
微睡めば吹き驚かす風の音の ゐとど緩きは次ふ憂きかな
現世の影となりては在らぬ世の 光賜ひて魂の星ぬる
天雲の有るが中にも星を見て 語りを掛けぬ繁にしあれど
詮尽けば藍に身を染め星に影 夜良し月良し千代へ細し
蔑すとも風は仄かに沢弥り 結ぶともなき夏を続けぬ
川浪の豐に流るゝ年月の 天ヶ淵積む真砂のひかり
実葛ゐや遠長く斐伊の浪 越して江戸前鎌倉に経つ
浪立ちぬ風は出雲の彼方より 巡り来たりて火群となりぬ
知られぬも文月之月の白かさね 出ずる陽の色為れる影とも
邂逅に問ふ人有らば藤ヶ谷 絶えせぬ河の忘れ淸水
青時雨緯も涼しく気色たち 程にこそ有る待宵ノ草
雨糸の拘ふ儘持て囃す 心遅れを今し風にこふ
見ても猶覚束なきやさらぬ顔 唯の夕焼けか微笑みなるも
鬼灯の色に出ける結び目に 今推したる二人もみちを
引き解くも覚ゑ浮かぶは夏宵の ともに結びし絲や鬼灯
咲く花乃夢の繰り毎日の数ゑ 色も儚き今日の微笑み
置くと見し花も消へにし爪痕も 残せぬ日々を何に例へむ
箱庭の御伽話の愛しさに 四じを忘れて何語りけむ
切なくも水面に映る連なりの ふたりと揺るゝ花は青なる
沈みゆく青の天なる泡の星 絶へ入る寒さ次第次第に
遥かなる透の水底満ち満ちて 音無し極み色退き限る
息をつく心打つ音に領る世界 影も届かぬ人間隠ろふ
冷泉の仄暗き園何時の間に 身凍え果てし花の季節を
凍ての夜に四葩鋭く身を斬りて 風花朱き終の枯園
白く咲き瑠璃の瞬き凍み凍る 涙やうらの玉にまがはむ
此の身こそ花の裂き散る人形に 怖れ嘆くは我を見てまし
君厭ふ傷付く事の数々を うち祓ひこそ赦すべくなく
厳し夜の凍て空に咲く六つの花 問ひ来ぬ君の心現る
をじなしとひとり頃しも夜に咲く 憂きを忘るゝ風の花笑み
涙する声も優しき花の頃 仰ぎとも見し白き花舞ふ
雲隠る道を失しては過ぐる魔に 咳も断ちつれ落ちし涙に
何処にと君を知らねば行方なく 月も戸惑ふ目見の悲しき
さゝ心情け寄すこと思ひどち 一人一人の心二つを
人ふたり雲ゐの月に優しくも 思ひ懸くれば生まれ出で来る
壊たせでよく護りては傷付けず 倦まず弛まず現在し良かば
戯れのゐと赤らかに搔ひ付くは 憧れ惑ふ伸ばされし手を
憂き世とも汝の断ちける花笑みは やがて嬉しき火影なりける
降れば降る冷たき四葩夜を裂く 花折り散らし思ひ消すなど
仄かなる光り束ねし月影の 浮き雲にある喜びの灯と
絶え絶えの貴方の頭上に照らせども 掬びて零す喪なく逸来と
悪しき時君そ叱かふ然るべし 詞を番ふ影に尋ぬる
ゐざ給へ我を見付けに今一度 限りも無せば飽かざりし待つ
仄暗き然しも荒れたる園なるを 雪を形見に尋ね来しかな
浮き雲のところ寂しきあら無くに 舞ひ散る花をまた仰ぎ見ゆ
可惜夜に虚しき園を眺むれど 其れぞと知るき影だにも無し
逢ふことも今はなき寝の夢の花 君の微笑み仍りて見るべき
知らぬ夜の光り射しそふ珍しき 幽かに宿す花情ぞと知る
人にある夜に咲く花見ればまた せめて微笑む心なりせば
空焚きの透も遣らずに薫る日は 漫ろ聴こゆし花の唄かな
僕を消し得たるもの罪避りし みこ荒ぶ程に地鳴りを怖る
柵の袖無き歯牙のこと咎め 数ふ某何も捕らへず
我が処世に余されて侘びしらに 計らざる時音露と消ゆ
人目無く神鳴る騒ぎ跡にして 纏はる殊の応ふ可笑しき
得たり負ふ矢叫び様に或る世界 的に縋りて意亡くなす
輪廻する日々並べては暗ますも 燁り巡りし螺旋の渼業
日隠の闇末に類ふ物にこそ 傷の痛みの斯くも顕しく

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