十字街:意宇郡 - 出雲荒都歌その5

夕まぐれ問ひてむなしき街(ちまた)かな行きかふ人のたえてあらねば
いづくへも迷わず行かむ八雲立つ出雲の神のさいはひあれば

詠み人 圓学

十字街とは、『出雲国風土記』巻末の「主要道」に記された、国庁の北に位置する十字路のことである。ここでは、石見方面へ通じる正西道と、隠岐へ向かう隠岐道が交差していた。すなわち、古代の出雲人にとって、旅立ちの起点であった。

街(ちまた)には市が立ち、往来する人々で賑わいを見せたことだろう。しかし、いまやその面影はまったくない。市街地から離れた静かな田園のなかにあり、変わらぬのは眼前に広がる茶臼山の風景だけだ。

(書き手:内田圓学)

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