絶句連歌「かささぎ」


去る12月24日に催した「古今伝授と茶飲み連歌会(師走の巻)」において仕上がった、二折の絶句連歌をご紹介します。
※「絶句連歌」とは、漢詩の絶句さながらに「起」「承」「転」「結」の四句からなる、平成和歌所オリジナルの連歌形式です。基本的な付け方、転じ方は連歌の心そのままに、気軽に楽しめるのが特徴です。
→「絶句連歌の作品一覧

題『かささぎの橋』

■例
発(起) :閨に入る ひかりつれなき 霜夜かな
脇(承) :いづこへ渡る カササギの橋
第三(転):去年の道 忘れて迷う あわてんぼう
結(結) :枝折の花は 月にまぎれて

■一の折
初霜の まとう木葉の たなびきて
届かぬ雪も 静かなりけり
つはの花 橋のたもとに しをるれば
いずれほころぶ 花の兄かな

■二の折
冬空に かささぎ渡す 星河の
薄氷には きらめく光
目ざめさば 庭の外には 音もなし
ただ月だけが 残りける朝

平成和歌所の「歌会、和歌教室」

【和歌マニア(第50回)】妄想女子の恋歌日記(恋飽きられる11月の巻)


古今集の恋歌を現代の妄想女子が日記にしてみた。今回はひさびさに、ろっこさんの語りでお送りする恋歌日記! 恋する男に裏切られた妄想女子は何を思うのか? 前回に引き続き日本文化ツウの春宮宗淳さんと一緒にお送りします。お茶は恋とも関係が深かった!?

♪放送で紹介した和歌
822 「秋風に あふたのみこそ 悲しけれ わが身むなしく なりぬと思へば」(小野小町)
823 「秋風の 吹きうらかへす 葛の葉の 裏見てもなほ 恨めしきかな」(平貞文)
821 「秋風の 吹きと吹きぬる 武蔵野は なべて草葉の 色かはりけり」(よみ人しらず)

「妄想女子の恋歌日記」~恋終わりの12月の巻~


●12月9日
時雨の夜、突然彼から電話があった

でもお互いに交わす言葉もなくて、

聞こえるのは

傘を持たない私に降る

冷たい雨音だけ

分かってるよ

「別れよう」って言いたいんでしょ?

でも聞きたくない

心変わりしたあなたの言葉なんて

782「今はとて わが身時雨に ふりぬれば ことのはさへに うつろひにけり」(小野小町)

●12月10日
昨夜の電話

私の方から切っちゃった。

つらすぎて、悲しすぎて

思い出しただけで、心が消えるよう

今朝は初霜がきれい

あ~あ、なんで起きちゃったんだろう

ずっと眠ったままでよかったのに

643「けさはしも おきけむ方も しらざりつ 思ひいづるぞ 消えてかなしき」(大江千里)

●12月24日
気が狂いそう…
だって、どうしていいか分かんないんだもの

彼は結局、別れの言葉を口にしない
姑息で卑怯なやつ

でもやっぱり好き

野焼きで次の春を待つように、私が冬枯れの野原だったら
はずかしくても、みすぼらしくても
全部忘れて、ずっと待ってるのに

791「冬がれの 野辺とわが身を 思ひせば もえても春を またましものを」(伊勢)

つづく…
(書き手:和歌DJうっちー)

「妄想女子の恋歌日記」一覧

【和歌マニア(第49回)】「茶道と和歌のちょっといい話」その1


今回は武家茶道の熟達者で日本文化ツウの春宮宗淳さんをお招きして、茶道の歴史や和歌との関りを伺いました。いつもと違う雰囲気にうっちーもろっこも大興奮! ここぞとばかりいろんな話を聞いちゃいました。

「見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮れ」(藤原定家)
「花をのみ まつらむ人に 山里の 雪間の草の 春をみせばや」(藤原家隆)

古今伝授と茶飲み連歌会(師走の巻)


これまで幾度の「わくわく和歌ワークショップ」をつうじて気づいたことがあります。
それはお集まりいただく方々が一様に「数寄者」だということ、
そして同時に現代には「数寄を楽しむ場がない」ということです。

「茶道」やその他芸事なんてのは現代でも至る所に体験できる場所があります。
しかし、これらは稽古のための稽古を繰り返すばかりで、
本当にで「数寄」を楽しめる場ではないのではないでしょうか?

非常にもったいない!
私は数寄者が心から楽しめる場所をつくりたいと思います。

業平に西行、利休に芭蕉。
私に彼らのような才能はなくとも、憧れだけは尽きることがありません。
さあみなさん、私と一緒に歌を愛し数寄者の道、風雅の誠を探求しましょう!
※私が考える数寄者とは、歌や文学など「古典文化」に憧憬を抱き、時には現実から離れてその道に没頭する人です

〇開催日:12/24(日)10:00~12:10 ※毎月第3or4日曜に開催
 ※申込締切:12/20
〇初回体験費:2,000円(税込)
〇参加費(1回):3,000円(税込)
〇開催場所:東京メトロ銀座駅徒歩5分 ※お申込み頂き次第、会場の詳細を返信いたします

詳細、お申し込みはこちら
→「平成29年 秋の大文化祭☆開催レポート

「妄想女子の恋歌日記」~恋飽きられる11月の巻~

●11月某日
学校からの帰り道。

家の近くのあぜ道なら誰にも見られないって、
初めて手をつないだ夏の日。
ずっとずっと、一緒にいられると思ってた。

秋風が吹き付ける。
あぜ道を行くのは私一人。

田の実と、彼を頼みにしていた私に
秋風が冷たく冷たく吹き付ける

あ~あ、
やっぱり一人になっちゃった。

822 「秋風に あふたのみこそ 悲しけれ わが身むなしく なりぬと思へば」(小野小町)

●11月某日
足元に目をやると
葛の葉が風になびいている。

冷たい秋の風は、
その葉を吹き返して裏を見せている

それを見るたび、
恋の恨みも募ってくる

わたし悪くなかったよね?
彼を恨んだっていいよね?

823 「秋風の 吹きうらかへす 葛の葉の 裏見てもなほ 恨めしきかな」(平貞文)

●11月某日
裏切ったのは彼
でも… まだどこかで信じられない

確かに女にモテて、調子いいトコもあったけど
ウソをついたりする人じゃなかった

秋風はますます強く吹き付ける。
武蔵野の草葉はあたり一面、秋の色に変わってしまった。

彼の心も私に飽きて、
すっかり変っちゃったんだろうね。

821 「秋風の 吹きと吹きぬる 武蔵野は なべて草葉の 色かはりけり」(よみ人しらず)

つづく…
(書き手:和歌DJうっちー)

「妄想女子の恋歌日記」一覧

平成29年「秋の大文化祭☆」開催レポート

去る平成29年11月19日、平成和歌所による初のこころみ「秋の大文化祭」が開催されました!
立冬を過ぎても秋とはご愛敬ということで…

場所は大田区池上の古民家。
目と鼻の先には「池上本門寺」がございます。
池上本門寺は日蓮宗の大本山、立派な「仁王門」が出迎えてくれます。

大堂と本殿の間には「紅葉坂」という素敵な名前の坂がありました。
が、紅葉らしい木々は見当たらず…

この池上の「紅葉坂」をヒントに、今回の連歌の脇句を付けました。
【発句】ちはやふる 神代もきかず 竜田川(在原業平)
【脇句】水なき池に 錦ぞ上る(うっちー)
※句中に開催地の「池上」を詠みこみ、その紅葉坂を錦(この場合は錦鯉)が上る、神代にも聞いたことがないなぁ、というような感じです

「此経難持坂」の上から見下ろす池上の町。
ここから徒歩数分で、今回の会場があります。

こちらが今回の会場「古民家カフェ 蓮月」。
昭和の雰囲気が色濃く残る、立派な建物。中は意外と!? 広かったです。

今回の「秋の大文化祭」は13時から17時までの4時間!
毎月の定番の「古今伝授(秋の夕暮れ)」と「連歌」を組み入れつつ、
ご参加の方に手練れの技をご披露頂く「異文化交流」を行いました。

初めての試みでしたが、総勢15名の数寄者にお集まりいただきました。
ご参加の方のほとんどが着物、ちなみに私は着物を着てくださいなんて一言も言っておりません(笑

異文化交流では、まず初めに「刀剣」をご紹介いただきました。
これらはすべて普段の稽古で使われているそうです。
その佇まいは武士そのもの…
私も帯刀させていただき、侍気分を満喫しました。

次いで「キモノさーくる 華会」で着付けの先生をされている「おと」様による帯結びの披露。
本当にあっという間に、華やかな帯を結ばれていました。
結び方ひとつで、着物の印象はぐっと変わりますね。

続いては「能」と能で歌われる唄について。
能は日本文化の中でも難易度が高くとっつきにくい印象がありましたが、
それを払しょくするような面白いお話をいただきました。
みなさん、和歌と能の関係はかなり深いですよ!

最後は日本舞踊です。ということはもちろん「ろっこさん」の登場です。
踊りの前に、「袖による感情表現」のお話をしてもらいました。
和歌でも袖は涙と縁を持ち頻繁に歌われますが、踊りでは和歌以上の表現のバリエーションがあり驚きました。
袖は口ほどにものをいう、という感じです。

今回は「紅葉の橋」という季節にぴったりの踊りを披露していただきました。
こんなに間近で見られて感激です!

さて、最後は恒例の「連歌会」です。
初めての方も沢山いらっしゃいましたが、みなさん「楽しく」そして「真剣」に詠じられいました。
※この時の連歌作品は、改めて披露させていただきます

盛りだくさんの内容に、みなさんも熱がこもり時間を延長する結果に。
楽しく和気あいあいと日本文化の交流ができました。
普段、家元制度の狭い世界に閉じこもっていると、こんな体験はなかなか出来ないかもしれません。
そんなことが出来るのは、日本文化の礎「和歌」を自由にエンターテイメントする平成和歌所ならではです。

通常のワークショップ(古今伝授+連歌会)は毎月第四日曜に開催中。
次回の大文化祭は半年後、「春の大文化祭」を企画中です!
ぜひみなさま、お気軽にご参加ください。
→「わくわく和歌ワークショップ

平成和歌所 和歌DJうっちー

【和歌マニア(第48回)】秋のバイプレーヤー「露」!

今回のテーマは「露」! 露は秋の主役(紅葉、萩)たちの添え物にしかすぎませんが、歌になくてはならない重要な存在なのです。宝石にもなる露の美しさをご紹介しましょう。着物生活チャレンジ中の吉三さんの面白話もあるよ。

♪放送で紹介した和歌
222「萩の露 玉に抜かむと とれば消ぬ よし見む人は 枝ながら見よ」(よみ人しらず)
223「折りて見ば 落ちぞしぬべき 秋萩の 枝もたわわに おける白露」(よみ人しらず)
27「浅緑 糸よりかけて 白露を 玉にも抜ける 春の柳か」(僧正遍昭)
225「秋の野に おく白露は 玉なれや 貫きかくる 蜘蛛の糸すぢ」(文屋朝康)
257「白露の 色はひとつを いかにして 秋の木の葉を 千々に染むらむ」(藤原敏行)
258「秋の夜の 露をは露と おきながら 雁の涙や 野辺を染むらむ」(壬生忠峯)
574「夢路にも 露や置くらむ よもすがら 通へる袖の ひぢてかわかぬ」(紀貫之)
589「露ならぬ 心を花に 置きそめて 風吹くごとに 物思ひぞつく」(紀貫之)
757「秋ならで おく白露は 寝ざめする 我がた枕の 雫なりけり」(よみ人しらず)

集まれ数寄者! 「秋の大文化祭」開催のお知らせ


やってきました秋の大文化祭!
毎月恒例の和歌ワークショップ&連歌会はもちろん、
ご参加の皆様にも手練れの技をご披露いただき、日本の異文化交流を行います!

場所は池上本門寺目の前の風情ある古民家。
時間はいつもの倍、4時間を予定しています。

心づくしの秋。風流な遊びに興じてみませんか。
※12月は通常の「はじめての古今伝授と歌会」となります

【開催内容】
〇古今伝授(和歌の解釈):「秋の夕暮れ」
 ※その他:和歌の修辞法、和歌の文法、奥の細道鑑賞
〇連歌(式目)※分からなくても楽しめます!
 ・発、脇句:当季の脇起り
 ・定座:月(5句、14句、29句)、花(17句、35句)※正花に限らず当季の花を自由に詠みます
 ・句数去嫌:四季、恋、同字以外は大らかにいきましょう
 ・形式:半歌仙(18句)を巻きます
〇異文化交流
 企画中(和歌×書、和歌×刀剣、和歌×日舞、和歌×和装…)

【開催場所、参加料】
〇開催日:11/19(日)13:00~17:00 ※申込締切:11/15
〇参加料:4,000円(税込)※初めの方:3,000円(税込)
〇開催場所:東急池上線 池上駅 徒歩8分 ※お申込み頂き次第、会場の詳細を返信いたします

→「ワークショップの詳細、お申込みはこちら

「妄想女子の恋歌日記」~恋待ちきれぬ10月の巻~

●10月10日

あの有明の朝から
彼とはほとんど会ってない

今日も友達と予定があるとかって
みじかいLINEが来た

彼はこんな一文で済ませてくるけど
私はもっともっと話がしたい
こんなに好きだってこと、全力で伝えたい
会えばきっと、私のこと分かってくれるはずだから

小萩に置いた露が重たくて
それを払ってくれる風を待つように

私も彼からの連絡をひたすら待ってる

694「宮城野の もとあらの小萩 露をおもみ 風を待つごと 君をこそまて」(よみ人しらず)

●10月25日

もう限界!
このままずっと待ってるだけなんてできない

私に足りないのは行動力
嫌われたっていい
彼の気持ちが知りたいの

だから、
いつかみたいに「来ちゃった」ってやつ
リベンジしてみたんだけど、
やっぱ無理かな…

ううん、今回は部屋の灯りはついてるの
でもいざとなると、ドアをノックできない
何にビビってんだろ私、、

あ~
初雁が鳴いて通り過ぎるように
私が何度も何度も、家の周りを行ったり来たりしてんの
彼に知らせてやりたい!

735「思ひいてで 恋しき時は 初雁の なきてわたると 人しるらめや」(大伴黒主)

●10月25日

私ずっと、彼のこと一途に思ってた
内緒で付き合おうっていうから
それを真に受けて、誰にも言わないでいた

それがなによアイツ
別の女しっかり連れ込んでイチャついてんじゃん
窓越しに、私はっきり見たわ

ほんとバカ
なんなのよ
とにかく最悪

今はもう、何も考えられない

748「花すすき 我こそしたに 思ひしか 穂に出でて人に 結ばれにけり」(藤原仲平)

つづく…
(書き手:和歌DJうっちー)

「妄想女子の恋歌日記」一覧

この記事の音声配信「第47回 妄想女子の恋歌日記(恋待ち切れぬ10月)の巻)」を
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→「令和歌合せ(卯月の会)」4/28(日)9:50~11:50