和歌(習志野)「茜浜 海にこだます うぐひすを 誰や言ひけむ 谷のものぞと」

「あかねはま うみにこだます うぐいすを たれやいひけむ たにのものぞと」和歌DJうっちー

春の陽気に誘われ、茜浜に貝拾いに行きました。
そこでなんと、松林の中からうぐいすの鳴き声を聞きいたのです。
これには驚きました。
地元(奥出雲)を離れてこのかた、うぐいすの声なんて一声も聞いたことがありませんでした。
ですのでうぐいすの声は、望郷のイメージそのものだったのです。
それがこの茜浜で聞けるとは、思いもよりませんでした。

古今和歌集では、うぐいすは冬に谷の奥にいて、春になると里にやってくるという設定で歌が詠まれています。うぐいすが渡り鳥だということが知られていなったのですね。
このように浜で鳴くうぐいすを目の当たりにすると、その設定を見直さなければなりませんね(笑

古今和歌集 恋歌残酷物語 その10「深淵の思い」

古今和歌集 恋一【535】「とふとりのこゑもきこえぬ奥山の ふかき心を人はしらなむ」(よみ人しらす)
古今和歌集 恋一【537】「相坂の関になかるるいはし水 いはて心に思ひこそすれ」(よみ人しらす)

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あのひとは兄の婚約者。
抱いてはならぬ、恋心。
とても人に明かせるものではなく、思いしのぶより他はない。

ただ、どうかあのひとよ知ってほしい。
鳥達の声が聞こえぬあの奥山のように、この深い深いあなたへの思いを。

知ってほしい。
それだけがせめてもの慰め。

(書き手:和歌DJうっちー)
→関連記事「5分でわかる恋歌の全て ~古今和歌集 恋歌残酷物語(総集編)~
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和歌(句題漢詩)「ことごとく 残花を落とす 夜の雨 さめざめと啼く 暁の鳥」

【「春眠不覚暁 処処聞啼鳥 夜来風雨声 花落知多少」といへることをよみ侍りける】
「ことごとく ざんかをおとす よるのあめ さめざめとなく あかつきのとり」(和歌DJうっちー)

和歌を詠むうえで、漢詩には非常にインスピレーションを受けます。
孟浩然の詩ですが、有名な一句「春眠暁を覚えず」よりも三、四句に視点を向けた歌としました。

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和歌(平成題詠)「さくら花 散りに跡を 雪やなぎ 追ふて行くとや そそくさと消ゆ」

【ゆきやなぎ】
「さくらばな ちりにしあとを ゆきやなぎ おふてゆくとや そそくさときゆ」(和歌DJうっちー)

和歌では、雪を桜の花に見立てるのが常套的な表現ですが、「雪柳(ユキヤナギ)」に群群と咲く小さい花は、まさに雪のように見えます。
マンションの植栽に見事に咲いていた「雪柳」ですが、桜が散るのと同じくして、あっというまに散ってしまいました。

※「雪柳」
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古今和歌集 恋歌残酷物語 その9「涙の河」

古今和歌集 恋一【527】「涙河枕なかるるうきねには 夢もさたかに見えすそありける」(よみ人しらす)
古今和歌集 恋一【529】「篝火にあらぬわか身のなそもかく 涙の河にうきてもゆらむ」(よみ人しらす)

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この涙はなぜ流れるのか?

あのひとに逢えない悲しみ、叶わぬ恋への絶望、それとも己の無力さに嘆いてか?

例えでもなんでもなく、涙が河のように流れ留まらぬ。

夢さえも確かに見えない有様だ。

この涙の河に浮かんでも、恋の心は燃え続けている。

(書き手:和歌DJうっちー)
→関連記事「5分でわかる恋歌の全て ~古今和歌集 恋歌残酷物語(総集編)~
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古今和歌集 恋歌残酷物語 その8「儚さの極致」

古今和歌集 恋一【522】「ゆく水にかすかくよりもはかなきは おもはぬ人を思ふなりけり」(よみ人しらす)


あの女を思い始めて何日立つだろう。

10日、20日、30日、、、ゆうに100日は経っただろか?
数を書いてみよう。
紙ではなく水面に。

ふっ、そんなあやない事をしてどうしようというのだ。
描いた刹那、虚しく消えてしまうというのに。

それにもまして儚いのは、思ってくれない女をこうして思い続けることよ。

(書き手:和歌DJうっちー)
→関連記事「5分でわかる恋歌の全て ~古今和歌集 恋歌残酷物語(総集編)~
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和歌(奥出雲)「春野辺の 青きむらむら 摘みてゆく その小さき手 母と繋いで」

【入学式、母親に連れられてゆく思い出を詠める】
「はるのべの あおきむらむら つみつゆく そのちいさきて ははとつないで」(和歌DJうっちー)

春の思い出を彩る色、と聞いて何色を連想しますか?
やはり「桜色」が定番でしょうか。

私の場合「青」です。
「ジャノヒゲ」の実や「オオイヌノフグリ」といった、道のべに咲く小さい野草達の「青」が思い出されます。

小学校の入学式。
母親に連れられゆく道のり、可愛く咲いていた青い花を摘み摘み歩いた記憶が蘇ります。

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和歌(平成題詠)「おもしろし 季節外れの 雪降れば 花散る枝に 冬の花咲く」

【暮春に雪の降れる時詠める】
「おもしろし きせつはずれの ゆきふれば はなちるえだに ふゆのはなさく」(和歌DJうっちー)

昨日までの暖かさが一変!
突如、雪が降るまでの寒気がやってきました。
おかげで、しまうつもりのコートを再び出す羽目に。。

和歌では、春が待ち遠しくて雪を桜の花びらに見立てるのが通例ですが、そのシチュエーションが桜の散り際にやってくるとは面白いものです。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その7「夢で逢えたら」

古今和歌集 恋一【516】「よひよひに枕さためむ方もなし いかにねし夜か夢に見えけむ」(よみ人しらす)


目を閉じると、何ともなしにあの人の姿が現れてくる。
考えない様にすればするほど、それは更に強くなる。
これは拷問だ!

せめて夢で逢瀬を果たそう。

恋しい人に枕を向けたら夢で逢えるという
そんな戯言さえも今は頼ってしまいそうだ

この枕はどこに向けたらいい?

こうしてまた、眠れぬ夜は虚しく更けてゆく。

(書き手:和歌DJうっちー)
→関連記事「5分でわかる恋歌の全て ~古今和歌集 恋歌残酷物語(総集編)~
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和歌(平成題詠)「春風よ いたくな吹きそ あはれ知る 気高き花は 自ずから散る」

【春の風強き日に詠める】
「はるかぜよ いたくなふきそ あはれしる けだかきはなは おのずからちる」(和歌DJうっちー)

今日の風は強かったですね。
せっかく満開になったばかりの桜を、全て散らせるような勢いでした。
そんなに強く吹かなくても、桜は自らの美学で、美しく散っていくのに。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その6「たゆたう舟」

古今和歌集 恋一【508】「いで我を人なとがめそおほ舟の ゆたのたゆたに物思ふころそ」(よみ人しらす)

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物思いの日は続く。
相手構わず恋をしていた頃が嘘のようだ。
打ち明けられない恋とは、かくも辛いものだとは知らなかった。

海へ行こう。
あの大海に包まれれば、少しは気が休まるかもしれない。
さしずめ私は頼りなく漂う一艘の船。ゆらゆらと行方も分からずただ彷徨うだけ。
そんな私を、どうか咎めないでほしい。
この恋を自由に往来できる梶さえあれば、正気に戻るのだから。

(書き手:和歌DJうっちー)
→関連記事「5分でわかる恋歌の全て ~古今和歌集 恋歌残酷物語(総集編)~
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和歌(平成題詠)「春早し 一夜過ぐれば 花が咲き 二夜過ぐれば 蝶となりぬる」

【春の移り変わりを詠める】
「はるはやし ひとよすぐれは はながさき ふたよすぐれば てふとなりぬる」(和歌DJうっちー)

春というのは、本当に移り変わりが早いです。
昨日まで蕾だった桜が一晩で満開になるように、またそれが瞬く間に散るように。
これはまるで、少女が女になるよるかのようだ!
(な~んて)

和歌(平成題詠)「凛々と 春陽一刃 花を差す 鋭く陰る その散り様よ」

【春の陽差し強い日に詠める】
「りんりんと はるひいちじん はなをさす するどくかげる そのちりざまよ」(和歌DJうっちー)

春の太陽は、風景の明暗をくっきり分ける鋭さがあります。
私が思うに、それは風景が色づいたことによって色への意識が強まったこと、湿度が低いために色の境界がくっきりとしていること、によると思います。あくまでも個人的感覚ですが。。
そしてそれ自体が春の美しさを生み出しているともいえます。

和歌(平成題詠)「おしなべて 春は来ぬらし ようようと ビルの隙間に 桜繁ける」

【桜の満開を詠める】
「おしなべて はるはきぬらし ようようと びるのすきまに さくらしげける」(和歌DJうっちー)

桜の木は本当に至るところにありますね。
雑然とした街中、普段はほとんど存在感のない桜も、この時期はここぞとばかり花を満開にし、存在感を示しているようです。

和歌(平成題詠)「初恋は ストロベリーフィールズ 甘く見ゆるは 時を経てこそ」

【The Beatles「Strawberry Fields Forever」を聞きし後に詠める】
「はつこいは ストロベリーフィールズ あまくみゆるは ときをへてこそ」(和歌DJうっちー)

青春の初恋は得てして酸っぱさが勝るもの。
時間を経て振り返った記憶の中にだけ、甘く感じるものかもしれません。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その5「末摘花の色」

古今和歌集 恋一【496】「人しれず思えはくるし紅の 末摘花の色にいでなむ」(よみ人しらす)

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あの花見から、ひと月はたっただろか。
のぼせ上がっていたが、この状況を少しは客観的に眺められるようになった。

あの女は本気になってはいけない女だ。
それもそうだろう、私の兄の婚約者なのだから。

しかし世の中には、頭で理解してもどうしようもないことがある。
兄の婚約者だからとて、恋してはならない道理があるか?
欲しいものは欲しい、これは私の真っ直ぐに純粋な欲求だ。
こうしてまた堂々巡りが始まる。
してはならない恋。秘して思うしかないのだろうか。

しかしこのままでは、そうあの末摘花の美しい紅の色のように、遅かれ早かれ思いは表に出てしまうことだろう。
恋に落ちた男はただ無力だ。

(書き手:和歌DJうっちー)
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和歌(奥出雲)「音もなく 峰に宿れる 白雲の 眠りを覚ます 鶯の声」

「おともなく みねにやどれる しらくもの ねむりをさます うぐひすのこえ」(和歌DJうっちー)

奥出雲の春。
厳しい冬を越え、穏やかな日差しが山々を包む。
そこにあるのはうぐいすの一声のみ。
山々に春の知らせが駆ける。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その4「募る恋心」

古今和歌集 恋一【486】「つれもなき人をやねたくしらつゆの おくとはなけきぬとはしのはむ」(よみ人しらす)

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女の姿が強烈に焼き付いて離れない。

霞を隔て、おぼろげに見えただであったのに。
恋が心を惑わせているのだろうか?

癪な話だが

白露が葉に置くように起きては嘆き
寝ては恋しさが募る

(書き手:和歌DJうっちー)
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