古今和歌集 恋歌残酷物語 その7「夢で逢えたら」

古今和歌集 恋一【516】「よひよひに枕さためむ方もなし いかにねし夜か夢に見えけむ」(よみ人しらす)


目を閉じると、何ともなしにあの人の姿が現れてくる。
考えない様にすればするほど、それは更に強くなる。
これは拷問だ!

せめて夢で逢瀬を果たそう。

恋しい人に枕を向けたら夢で逢えるという
そんな戯言さえも今は頼ってしまいそうだ

この枕はどこに向けたらいい?

こうしてまた、眠れぬ夜は虚しく更けてゆく。

(書き手:和歌DJうっちー)
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和歌(平成題詠)「春風よ いたくな吹きそ あはれ知る 気高き花は 自ずから散る」

【春の風強き日に詠める】
「はるかぜよ いたくなふきそ あはれしる けだかきはなは おのずからちる」(和歌DJうっちー)

今日の風は強かったですね。
せっかく満開になったばかりの桜を、全て散らせるような勢いでした。
そんなに強く吹かなくても、桜は自らの美学で、美しく散っていくのに。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その6「たゆたう舟」

古今和歌集 恋一【508】「いで我を人なとがめそおほ舟の ゆたのたゆたに物思ふころそ」(よみ人しらす)

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物思いの日は続く。
相手構わず恋をしていた頃が嘘のようだ。
打ち明けられない恋とは、かくも辛いものだとは知らなかった。

海へ行こう。
あの大海に包まれれば、少しは気が休まるかもしれない。
さしずめ私は頼りなく漂う一艘の船。ゆらゆらと行方も分からずただ彷徨うだけ。
そんな私を、どうか咎めないでほしい。
この恋を自由に往来できる梶さえあれば、正気に戻るのだから。

(書き手:和歌DJうっちー)
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和歌(平成題詠)「春早し 一夜過ぐれば 花が咲き 二夜過ぐれば 蝶となりぬる」

【春の移り変わりを詠める】
「はるはやし ひとよすぐれは はながさき ふたよすぐれば てふとなりぬる」(和歌DJうっちー)

春というのは、本当に移り変わりが早いです。
昨日まで蕾だった桜が一晩で満開になるように、またそれが瞬く間に散るように。
これはまるで、少女が女になるよるかのようだ!
(な~んて)

和歌(平成題詠)「凛々と 春陽一刃 花を差す 鋭く陰る その散り様よ」

【春の陽差し強い日に詠める】
「りんりんと はるひいちじん はなをさす するどくかげる そのちりざまよ」(和歌DJうっちー)

春の太陽は、風景の明暗をくっきり分ける鋭さがあります。
私が思うに、それは風景が色づいたことによって色への意識が強まったこと、湿度が低いために色の境界がくっきりとしていること、によると思います。あくまでも個人的感覚ですが。。
そしてそれ自体が春の美しさを生み出しているともいえます。

和歌(平成題詠)「おしなべて 春は来ぬらし ようようと ビルの隙間に 桜繁ける」

【桜の満開を詠める】
「おしなべて はるはきぬらし ようようと びるのすきまに さくらしげける」(和歌DJうっちー)

桜の木は本当に至るところにありますね。
雑然とした街中、普段はほとんど存在感のない桜も、この時期はここぞとばかり花を満開にし、存在感を示しているようです。

和歌(平成題詠)「初恋は ストロベリーフィールズ 甘く見ゆるは 時を経てこそ」

【The Beatles「Strawberry Fields Forever」を聞きし後に詠める】
「はつこいは ストロベリーフィールズ あまくみゆるは ときをへてこそ」(和歌DJうっちー)

青春の初恋は得てして酸っぱさが勝るもの。
時間を経て振り返った記憶の中にだけ、甘く感じるものかもしれません。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その5「末摘花の色」

古今和歌集 恋一【496】「人しれず思えはくるし紅の 末摘花の色にいでなむ」(よみ人しらす)

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あの花見から、ひと月はたっただろか。
のぼせ上がっていたが、この状況を少しは客観的に眺められるようになった。

あの女は本気になってはいけない女だ。
それもそうだろう、私の兄の婚約者なのだから。

しかし世の中には、頭で理解してもどうしようもないことがある。
兄の婚約者だからとて、恋してはならない道理があるか?
欲しいものは欲しい、これは私の真っ直ぐに純粋な欲求だ。
こうしてまた堂々巡りが始まる。
してはならない恋。秘して思うしかないのだろうか。

しかしこのままでは、そうあの末摘花の美しい紅の色のように、遅かれ早かれ思いは表に出てしまうことだろう。
恋に落ちた男はただ無力だ。

(書き手:和歌DJうっちー)
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和歌(奥出雲)「音もなく 峰に宿れる 白雲の 眠りを覚ます 鶯の声」

「おともなく みねにやどれる しらくもの ねむりをさます うぐひすのこえ」(和歌DJうっちー)

奥出雲の春。
厳しい冬を越え、穏やかな日差しが山々を包む。
そこにあるのはうぐいすの一声のみ。
山々に春の知らせが駆ける。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その4「募る恋心」

古今和歌集 恋一【486】「つれもなき人をやねたくしらつゆの おくとはなけきぬとはしのはむ」(よみ人しらす)

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女の姿が強烈に焼き付いて離れない。

霞を隔て、おぼろげに見えただであったのに。
恋が心を惑わせているのだろうか?

癪な話だが

白露が葉に置くように起きては嘆き
寝ては恋しさが募る

(書き手:和歌DJうっちー)
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和歌(習志野)「久方の 空立つ雲雀が 初歌を 奏の杜に 春を届ける」

「ひさかたの そらたつひばりが はつうたを かなでのもりに はるをとどける」(和歌DJうっちー)

歌意:「奏(かなで)の杜」は、習志野市で目下再開発中のエリア。巨大なマンションが続々と建設され、平日は重機の轟音が鳴り響いていります。※2015年3月現在
一転、春の休日は穏やかなひばりの声が聞こえます。再開発の前までは一面のどから畑が広がっていた、その名残を留めています。。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その3「女の横顔」

古今和歌集 恋一【478】「春日野のゆきまを分けて生ひいてくる 草のはつかに見えし君はも」(壬生忠峯)
古今和歌集 恋一【479】「山さくら霞の間よりほのかにも 見てし人こそ恋しかりけれ」(紀貫之)

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私は花見に出かけた。
山には霞が立ち、せっかくの桜を見せまいと隠している。
まあいい。私の目的はこちらの花ではない。

霞の向こうにぼんやりと女たちの姿が見える。
あれは私を手引きした女房か。
だとすると、、、あれが私が思う女?
立ち込める霞の中に、その横顔を垣間見た気がした。

「美しい」
はっと溜息がもれた。
それは満開の桜花を忘れてしまうほどであった。

(書き手:和歌DJうっちー)
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和歌(平成題詠)「トワイライト 後朝の色は 忘れじの たびを重ねた 思い出とせむ」

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【トワイライトエクスプレスの運行終了をよめる】
「とわいらいと きぬぎぬのいろは わすれじの たびをかさねた おもいでとせむ」(和歌DJうっちー)

去る3月13日、札幌と大阪を結ぶ寝台列車「トワイライトエクスプレス」がの運行が終了しました。
「トワイライト」とは夜明け前や日没後の薄明かりのことす。
王朝時代、夜が明けるということは男と女の逢瀬が終わり、別れの時がやってきたことを意味します。
幾度の旅を重ねた「トワイライトエクスプレス」とも別れの時がやってきましたが、私は君のことを決して忘れません。(乗ったことないけど…)

古今和歌集 恋歌残酷物語 その2「見知らぬ女」

古今和歌集 恋一【470】「おとにのみきくの白露よるはおきてひるは思ひにあへすけぬへし」(素性法師)
古今和歌集 恋一【475】「世中はかくこそ有りけれ吹く風のめに見ぬ人もこひしかりけり」(紀貫之)

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恋とはこういうものなのだな。
不思議にこれほど愛おしく思う女に、私は逢ったことがない。

噂に聞くばかりだが、この思いは菊に置く白露のように、
夜は起きて眠ることができず、昼は苦しくて消えてしまいそうだ。

風のように、目に見ることが出来ない人であるが恋しくてたまらない。

どこに吹いて行くのだろう、この恋の風は。

(書き手:和歌DJうっちー)
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見知らぬ女
古今和歌集 恋歌残酷物語 その2「見知らぬ女」

和歌(奥出雲)「要害の 頂きありし 山桜 我にのみとて 秘して咲かなむ」

「ようがいの いただきありし やまさくら われにのみとて ひしてさかなむ」(和歌DJうっちー)

要害山は奥出雲町三沢地区にあるひっそりとした山城です。
小学生のころ何度か登り、その頂から見下ろした、山々の連なりの美しさに感動したのを覚えています。
その要害山ですが、私の家の正面の小山に上ると、山の中腹から頂きまで見ることが出来ました。いつかまた登りたいなぁと思い眺めて、この歳になってしまいました。

本歌
「見る人もなき山さとのさくら花ほかのちりなむのちそさかまし」(伊勢)

和歌(平成題詠)「春雨に 足元濡るる 帰り道 散りぬる花を 踏みていくかな」

【題:夜、春雨の降りけるをよめる】
「はるさめに あしもとぬるる かえりみち ちりぬるはなを ふみていくかな」(和歌DJうっちー)

まだ桜も咲いていないのに、早速、花が散ってしまった歌を詠みました。
しかし、これこそが古今和歌集の流儀!
平安歌人の皆さんは、桜の花が咲くより先に散ることを心配してしまい(※1)、ついにはいっそのこと咲かなくてもいいと(※2)、言っちゃう人がいるほどです。

※1「ことしより春しりそむるさくら花ちるといふ事はならはさらなむ」(紀貫之)
桜の群歌第一首ですが、既に散ることを心配しています(汗。。

※2「ことならは咲かずやはあらぬさくら花見る我さへにしつ心なし」(紀貫之)
挙句には、ドキドキしちゃうから咲くなという始末。。
いずれも貫之の作というのが、興味深いですね。やはり古今的精神の生みの親です。

古今和歌集 恋歌残酷物語 その1「狂い咲く恋の花」

古今和歌集 恋一【469】「ほととぎす 鳴くやさつきの あやめ草 あやめも知らぬ 恋もするかな」(よみ人しらず)

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ほととぎすが鳴き、あやめが咲く5月。
穏やかな風の中に佇む一人の男。
その胸の中は、理性の効かぬ思いで乱れていた。
ある女への思い。それはまことに純粋な慕情であった。

「これが恋なのか?」
そう思うのに時間は掛からなかった。
初めての恋なのに。

古今和歌集 恋歌の第一首。
ここから恋の苦悩の物語が始まる。

(書き手:和歌DJうっちー)
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和歌(V系恋歌)「偽りの 薔薇の花束 抱きしめて 孤独に濡らし 紅に染む」

「いつわりの ばらのはなたば だきしめて こどくにぬらし くれないにそむ」(和歌DJうっちー)
幻覚の愛に苦しみ悶える。
繰り返す孤独にもう耐えきれない。
何処かにこの苦しみを愛せる場所はあるのか?

【本歌】
XJAPAN『Silent Jealousy』

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