詩歌の変遷と「令和和歌所」が目指す地平

上の図表に日本詩歌の変遷をざっくりと整理していますので、まずご覧ください。
そのうえで、私が理解する要点を以下に三つ挙げます。

・万葉集、古今和歌集から始まった日本の詩歌文芸は、元禄時代の松尾芭蕉によってその道の頂点に到達した(「猿蓑」は俳諧の古今集とも評される)

・明治以後、詩歌文芸は万葉集を理想に仰ぎ「写生」を本分とするようになる。そしてそれは現在まで続く

・古今和歌集を源とする詩歌伝統の本流である「和歌」は長らく空白いや絶滅している

さて、短詩型文学である短歌や俳句はその取っつきやすさから、ピークは過ぎたといえ今も親しんでいる方は大勢いらっしゃいます。
しかし(あくまでも個人的感想であると断っておきますが)、私はこれら現代の短詩型文学にほとんど魅力を感じません。なんとなれば現代短歌は重くて湿っぽい、言うなれば「漬物石」のような重さで共感を求める態度に引いてしまいます。また俳句はそれと正反対に極めて軽い、しかし軽すぎて季語がなければ川柳となんら変わらぬ薄くて筋がない「イカソーメン」。芭蕉が到達した高みとやらはいったいどこに行ったのでしょう?

私が好むのはやはり詩歌伝統の本流「和歌」です。しっかりとした筋も歯ごたえもあり、文芸を愛する者の知的好奇心を十分に満たしてくれます。しかし一方でこの「筋」が硬すぎて、近代人に敬遠されたのも事実。
でも詩歌は進化・発展するのです。なにより私たちは「玉葉集」をそして「芭蕉」を知ってしまった今を生きる日本人です。和歌の「心」は変わらずに、日常の風景を思うまま柔らかく表現することだってできる、いややらなければ貫之はじめ歴々の歌人に顔向け出来ないでしょう。

古典和歌はこれから再び進化します。それは青空を舞う白いカイトのように、優雅に美しく。
私たち令和和歌所は詩歌の高みを今一度目指すことを、ここに宣言します。

(書き手:和歌DJうっちー/内田圓学)
「猿啼奥出雲集」(内田圓学のWeb歌集)

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