国民意識と伝統文化

こんにちは、和歌DJうっちーです。

先日内閣府から「社会意識に関する世論調査」の平成30年度分が公表されました。
→「内閣府大臣官房政府広報室

「社会や国に対する国民の基本的意識の動向を調査する」ことを目的とした調査なのですが、ここに気になる結果がありました。それは「日本の誇り」という設問、結果として最も多かったのが「美しい自然」で55.8%、次いで「治安のよさ」が54.5%と高く、「すぐれた文化や芸術」が49.6%で続いていました。なるほどと納得する一方、「経済的繁栄」は11.5%と低く、まがいなりにもGDP世界第3位の誇りはさほどではないようです。

ちなみにジャパン・アズ・ナンバーワンを謳歌していた平成元年の同調査結果では「美しい自然」が36.8%、「すぐれた文化・芸術」は25.7%で、「経済的繁栄」は25.1%となっていました。つまり平成の31年間で、文化的誇りは倍増し経済的なそれは半分以下になってしまったのです。
これをいかに捉えるか? 社会的な見解はその方面に譲るとして、和歌DJ的には和歌を愛好する風潮が整いつつあるようで、勝手に嬉しく思うところです。

ただ、ここで答えられた「すぐれた文化」とは具体的に何がイメージされているのでしょう?
おそらく「禅」「茶」「能」といった有数の伝統文化だと思います。これらいずれを突き詰めても「和歌」に到達すると私は考えるのですが、その思考に至るには本当にこれらが好きでないと難しいでしょう。そして、そんなマニアがどれだけいるか?

「すぐれた文化や芸術」を誇る国民が半数いるといっても、伝統文化それ自体を本当に楽しんでいる国民なんてのはほとんどいないと思います。それは伝統文化が高尚で一般人には理解しがたいというのではなく、伝統文化の方がそれを拒んでいるからです。
なぜなら伝統文化は伝統、ようするに謎めい奥に座すこと自体が目的になってしまっているため、国民一般にあまねく安易に理解してもらっては困るのです。
国民の目が経済的繁栄に向かっている時代はこれでもよかったのかもしれませんが、それが頭打ちになり、こうも文化的意識が高まっている今の時代には、あまり望ましい行為ではありません。

さて、少々皮肉が過ぎたかもしれませんが、われら和歌所では伝統の中の伝統、文化の中の文化である「和歌」を楽しくそして深く親しんでいます。しかもそれは観客として鑑賞して満足するのではく、一人ひとりがプレーヤーつまり詠み人として万葉・平安歌人らとも競い合う本格的な遊びとしてです。

くしくも時代は「文化を育み、自然の美しさを愛でる」という令和となりました。
今こそ日本文化の真髄、和歌を楽しみましょう。

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年冬号(Amazonにて販売中)