「平成31年 春の歌まつり(春あわせ)」開催レポート

去る2月16日、「春の歌まつり」を開催しました。
場所は梅の香薫る池上梅園!

「池上梅園」は池上本門寺の西の丘陵斜面に設けられた梅園です。かつてこの地は、日本画伊東深水氏の自宅兼アトリエだったそうです。

今回の一番の楽しみ「梅の花」ですが、4~5分咲きといったところ。
ただ辺りはすでに妖艶な梅の匂いで溢れていました。

ご覧ください、この美しさ。
梅の品種は300種余りあるといわれますが、池上梅園ではそのうち約30種類が見られるそうです。「緑がく枝垂」、「藤牡丹枝垂」、「座論(紅)」、「八重揚羽」、、、
満開になったらさぞ見事でしょうね。

会場は梅園の中にある茶室「清月庵」。
数寄屋建築の設計家川尻善治が大正時代に建てたそうです。
こんな空間で和歌あそびができるなんて、想像しただけで痺れます。

今回のテーマは「春あわせ」ということで、歌はもちろん書画、写真など、「春」を題材とした様々な自作の作品やエピソードを、ご参加様と一緒に語り合いました。ともに風雅を愛するみなさまの、知られざる特技や嗜好に驚き、また造形深いエピソードに感銘を受け、私自身も大変刺激となりました。

春の歌まつりの最後は、みなさんとの歌あわせです。
即興で「梅」または「池上」を入れ込んだ和歌、俳句を詠んで楽しみました。
その一部をご紹介しましょう。

「春空を眺めほほえむ梅の花」
「色も香も知る人集ふ池上の 梅や喜ぶ春やまさりぬ」
「池上の峯かひさかたの 梅詠む人に雲も匂へる」
「春ただよふかほりにさそはれて 庵のなかにも梅の花さく」
「かすがなる照るひをうつす池のおもに うすらいわるみ梅やさくらむ」
「ひさかたのひかりまぶしき北国は 気はやき梅の香ぞにほひける」
「ほのかすむ春の香りはしあわせと 光をはこぶ池上の園」
「梅園にいお里をせむと池上に うぐいす探す春の夕暮れ」
「池上のいほりのなかで香りは 八女の玉露とひかる梅なり」
「ぬばたまの餡ひらけたる苺かな」
「池上の梅にこめたる春風や」
「池の亀ぬらす月色ぬばたまの 夜の春風をてらす梅の香」
「はるかぜをたどりてみれば池上の 雲居にまがふ白梅の花」
「風流のにほひしたるや梅の花」

風雅を遊び尽くしましたね。
和歌や古典文化を嗜む方が乏しい昨今。このように風雅を語り、心を共有する場自体すごく貴重で大切だと私は思います。
和歌所では「和歌」そして「風雅の誠」との出会い、探求の場をますます盛り上げていこうと思います。
今後ともよろしくお願いいたします!

(書き手:歌僧 内田圓学)

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