去る6月29日、関東地方では早くも梅雨明けとなりましたが、これは平年より22日も早かったそうです。
しばらく猛暑日が続きましたが、一転今日は叩きつけるような激しい雨、
不安定な天気が続いているなか、明日7月7日はみなさまお待ちかねの「七夕」です!
173「秋風の 吹きにし日より 久方の 天の河原に たたぬ日はなし」(よみ人しらず)
これは古今和歌集で読まれた七夕(天の河原)の歌ですが、少し違和感がありませんか?
7月7日は「夏」のはずなのに、なぜか「秋風」が合わせて読まれています!
まあお分かりだとは思いますが、これは現在と使ってる暦が違うからですね。
和歌はもちろん旧暦(太陰太陽暦)で、その1~3月を春、4~6月を夏、7~9月を秋、10~12月を冬に分類します。
ですので7月7日は初秋、本来七夕とは涼しい風が吹き始めた頃に催されるイベントだったのです。
ちなみに今年(2018年)の旧暦7月7日は新暦の8月17日にあたります。
同じ行事でもおよそ一ヶ月半も違うのですから、合わせ詠まれる叙景が違って当然ですね。
このように古典文学を鑑賞していると、現在とは異なる慣行に違和感を覚えることは沢山あります。
かといってこれが、古人との交流の妨げにはなりません。
なぜって持ち合わせている「心」は変わっていないのですから。
古今和歌集には7月6日に詠まれたこんな歌があります。
■詞書:七月六日七夕の心をよみける
1014「いつしかと またく心を 脛(はき)にあけて 天の河原を 今日や渡らむ」(藤原兼輔)
待ちわびちゃって、裾をまくって今日にも天の川を渡りたい!
牽牛の気持ちを代弁したユニークな歌ですが、
年に一度のイベントを前にしてウキウキしちゃうのは今も昔も変わらないのです。
さて明日、みなさまに素敵な夜空が見えることを祈っております。
(書き手:歌僧 内田圓学)
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