いや~、見どころ満載でしたね!お正月に放送された英雄たちの選択「百人一首~藤原定家 三十一文字の革命~」。まさに百人一首祭りといった満腹感でした。
何といっても出し惜しみのないテンポの速さが良かったと思います。各エピソードが凝縮されていて、2時間という放送時間で多彩深遠な物語を秘めた百人一首のエッセンスを伺い知ることが出来たのではないでしょうか?(さらに万葉歌人や坊主歌人などがピックアップされれば、百人一首のほぼ全貌が垣間見えることでしょう)
そしてなんといってもドラマ、特に定家の脳内シーンは最高でしたね。あの演出によって古臭い歌人たちがグッと身近に感じられました。おそらくこの番組を観て歌人としての後鳥羽院、実朝なにより定家のファンになった方も多いのではないでしょうか。
私は「百人一首の成立」をテーマに、それこそ大河ドラマだって成立すると思います。主人公はもちろん定家ですが、その父俊成、子為家を絡めた三代記なんてどうでしょうか?
番組では定家の新風「達磨歌」にも触れられていましたが、実のところ百人一首には達磨歌はなく、伝統的な「古今和歌集」調で固められています。それは父俊成の影響を受け、中年以降の定家が至った理想の歌風なのです。そして鎌倉方を忖度して当初外されていた後鳥羽院、順徳院を百人一首に採ったのが息子為家だとも言われています。なにより俊成から物語を始めれば「保元の乱」、「治承・寿永の乱」までが舞台になり、大河に相応しい壮大な歴史ドラマになると思います。「御子左家三代記」! 一ファンの妄想に過ぎませんが、想像しただけでワクワクしちゃいますね。
一つ、僭越ながら個人的に惜しかった点を挙げるとすると、定家が百人一首を編んだ目的が界隈の定説の域を出なかったところでしょうか。凡河内躬恒の「置きまどはせる」に「隠岐」を掛け、定家の「夕凪」に隠岐の荒き波風の穏やかなるを願う、この数首をもって百首歌の目的が後鳥羽院の鎮魂である、とするのはちょっと難しいのかなと思います。もちろん番組もそれを承知だからこそ、ドラマの最後で家隆の推理に対して笑ってごまかす定家で締めくくったのだと思いますが。
(※他にも藤原忠通の七十六番「沖つ白波」に「隠岐」を見る向きもあります。ちなみに百人一首に駄作が混じるとはいえ、 躬恒と定家の歌は彼らの個性が顕れた名歌だと私は思っています)
ともかく、久しぶりに見応え十分の古典(歴史)番組を見ました。この番組によって「日本の宝」である百人一首があらためて見直されたと思います。それほどのエンターテインメントと深い教養を備えた素晴らしい番組でした。
ちなみに散々褒めちぎったこの『英雄たちの選択「百人一首~藤原定家 三十一文字の革命~」』ですが、なんと私「和歌DJうっちー」も僅かながら出演をしております!!
ということで以下に私(和歌DJうっちー)や令和和歌所、そして「英雄たちの選択( 百人一首 ~藤原定家 三十一文字の革命~ )」の内容がより楽しめる記事などをピックアップしております。ぜひご一読いただき、よろしければ和歌所の歌会に遊びにいらしてください。
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(和歌DJうっちー)
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