ML玉葉集 春上(令和二年二月)

令和和歌所では、ML(メーリングリスト)で歌の交流をしています。花鳥風月の題詠や日常の写実歌など、ジャンル不問で気の向くままに歌を詠み交わしています。参加・退会は自由、どうぞお気軽にご参加ください。

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今月のピックアップ五首

「惜しむかな花に降る雪手に取れば香もよそに露と消につつ」
「いたづらに廻り合ひたる雪月花君を忘れて呑む酒もがな」
「春の雪夜渡る月に花あれば何を憂きとし思ふものかは」
「風緩み花咲きにけりうぐいすの初音恋いつつこの夕べかも」
「梓弓春風吹けば梅の花咲くと見えるる我が為にかな」

今月の詠歌一覧

東風吹きてタイムラインに贔屓咲く匂いや起こす梅に似たりて
潮風は朗らかにこそ吹きにけれ今年は希む天下なるかな
みちのくの若武者迎う海の民気勢あげるは川平の浜辺
たがために咲きにけらしなうめのはなぬしなき門に春をわすれず
梅の花あるじなしとも咲きにけり昔の光なほもゆかしや
武士や栄えて絶える夢のあと梅の印にも魂や鎮もる
春立てば匂ほひおこしつ咲きにけり駒場の梅はあるじ忘れじ
梅の花匂ほひやおこすいずこにか行きしあるじの末をさがして
葉隠れの枝間見えしや梅の紋武家の鏡も霞と消えゆ
南よりひんがしかけて大筆を払へば滲む春の天かな
駒かけて弓手に刷毛を揮ひなば馬手にのぞくは春の天かな
東風吹きて結びをときし薄氷揺れる鏡や春をうつして
梅が香に春の訪れ知るなれば降るしらゆきも花びらに見ゆ
春立ちてみなもに結ぶ波の文ひらくあまのと東風や駆けぬけ
鶯の凍れる涙今ぞとく軒の玉水しげき春風
平蔵のゑみもこぼれる春陽かな片足踏めば潮もきこゆと
東海道ばせをもゆくかこの百歩とびては浮かぶもゝとせの陰
つつみたる鳴けぬ蛍のもの思いいかで解かさむ壬生の白雪
つゝみては壬生の春野も霞かなときては君がうさも晴れなむ
佐平次も涙するかな品川の平蔵地蔵を虚しく聞き
マスク越しかすむ光は春めけど影法師踏む足はジンジン
春立てど梅のつぼみの固ければ鶯来鳴け春待ちがてに
かたきみに宿すこゝろは春なれとしるやうぐひすいつか来鳴かむ
荒木田に籠めてつくりし夏あればすでにゆかしき春にやはある
高麗川にあかきをみれば望月と白きを競ふ梅の花かな
ひらきてはまた結びぬる梅の花声はさそへど風のさむきに
うぐいすは色をも香をもしるものぞまどいもせずにやどにつかばや
かぜふけばそでにつもりぬ空の梅あめにもあらむうぐいすの宿
陽はさすとみえてもさむし梅の花汝がかげなしに春もしられず
鳩なれば色にも香にもまどひけりいづらにやどをこひてからまし
山里に来鳴く鶯春知れば雲のうへにも花の咲くらむ
汝が鳴けば霞のうちに知られけり今盛りなる花の古里
初春やしばし止まんと道庭の枝間か隠れしうめのうぐいす
梅枝に停まりて鳴くは鴬の春の知らせは早やこゆと聴く
東風呼ばう刻も春なれ違えまじ好文木の月夜の旅路
遠近に訪ふや鶯庭梅の小枝に告げよ春は来たりと
白雪に交へて籠むる花の香を辿りてゆかむ踏み迷へども
あたたかきかたをみやればゑみながら春いろまとふ君が野にみゆ 
なんでかなこのあたゝかいときめきはゝるいろまとふきみがほゝゑむ  
切符買ひまちつゝありし日もうせて一栄一落是春秋
月もなし梅花もあらずうつりゆく人波ばかりとへどはかなし
人波がうねれど遠く聴こえくるあるじみつけし喜びの声
近ごろや驛にも宿る鶯をある人曰くスピーカーなり
あるじゝる汝にこそあれや梅のはな影なき街に八も待ちをり
木もなくてにほひおこせる汝にあればただ海にのみ花とみゆるか
ヒカリエのあたりはすでに近未来かはらぬものを指折りかぞえ
近頃は坊主も巣なる鶯に春は来たりとそれスピーカー 
思索する己が場得よと教へてし大人なき堂宇に涙こぼるゝ
鈴屋の大人も四五百の森ゆきにいにしへびとに問ひてしものを
地の如く子をうけたまふ母の肩おほきなるかなブオナロテイ打ち
なにごとをたのみこしものにあらざれどかたじけなさになみだこぼるゝ
風凪げど水面に描く波の紋春をよろこぶ魚はうつりぬ
うすらいをときしかぜをやかのひとのこほりとかばやこころにふきて
春浜にこうべをたれし人の群れ無事をいのりぬ幣の音響き
氷のうへに春ぞと鵯魚呼べば雲居もわれて風ぞわたらむ
水面開き雲居もわれて陽もさせば魚住む底にも春はきたらむ
芽は雪を魚は氷を開くなりわれも開けたり硯の御箱
春雨に濡れるそでをもあたたかし手を結びける君ありければ
またひとつふくらみやます花蕾雨にたちける土の香をきき
時きたる眠れる土を揺り起こす軒よりかかる春の玉水
雪の朝月はいずくと花の下君立ち待てり来ずと思へど
雪の野に出で立ち見ればかかる月さやけき影の照らす花かも
雪降れど妹なかりせばなく月の面影に見ゆ花の影かも
去年の春降れる雪やと月影に君と見し花我ひとり愛づ
袖に舞う雪を愛でつつ待つ月の心に掛かる花の面影
雪の日に月影のごとなりし君花の下にてまたあわめやも
我が宿に雪降りにけり月影に花めでし君思ほゆるかも
命あらばあわましものを雪の肌月のかんばせ花ある君に
春の雪夜渡る月に花あれば何を憂きとし思ふものかは
雪あれば我が身しくしく月あれば心しくしく待たるるは花
古の人の恋ふるは雪といふ月といふかな花あればなり
古の人も恋ふるや雪月花君なきゆへに君をしぞ思ふ
雪降れば君をしぞ思ふ月見れば君恋ひ偲ぶ花ぞかなしも
音もなく降る雪を見に花の下我出て立てば出でし月かも
雪の日に君たち出でし花の下さやけく照らす月影かなしも
雪白く花はおぼろに見上げれば夜空に照れる月はさやかに
久方の深雪が上に降る月の光りて花のあやまたれける
惜しむかな花に降る雪手に取れば香もよそに露と消につつ
雪を解く南の風は今まだき末には同じ花にほふかも
いたづらに廻り合ひたる雪月花君を忘れて呑む酒もがな
春ながら雪に粉ひて散る花に寄り添う月の愛しき面影
雪みてもまた月みても花匂ひけり宙にひとつの星の踊り子
しだりつゝも春を知らすか梅の花こぞみし人の影はなくとも
いかばかりこゝろちゞみてありし夜かふるほしかげをたのみつゝとはいへ
ふとみればつきかげうつすさかづきにひとひら花のゑひてたゆたふ
ふゆがれのこずゑに花のさきそむとみればをちこちけぶりてまたむ
風緩み花咲きにけりうぐいすの初音恋いつつこの夕べかも
うぐいすの鳴く音さそへる梅の花散らまくおしも常春もがも
あめんどう花のさかづき違へどもゑひては同じ色に染むらん
朝霧の衣をまとふ花の影おぼろに見えてはじらふ乙女
名をのみの春の夜空に浮かぶ月朧衣で寒をしのぎて
山の端にたなびく霞の新衣(にいごろも)いずこにおわす佐保の春姫
ひのくれてにほひましたる花にゑひうつろふままにこころそめぬる
しめやかに霞の衣棚引いて亡き人思ふ三陸の春
さきにほふ花のたよりとうぐひすの里山おほふこゑをきかまし
朝霧にうつろふ花のおぼろなりいきのをむすぶ香こそはなため
梓弓春風吹けば梅の花咲くと見えるる我が為にかな
梅の香を風のたよりとまつみさへかりそめのよの夢のうきはし
捨て果つるさても我が身に春風は花の心を咲かせしむかな
君が為咲くかと見えし梅の花愛づひとの方に吹けやこの風
風吹けば揺れる汀の漣もやみてはうすきくれなひのあと
梅の花散らばこそ散れあくがるる花の季節は重ねてぞ来る
咲き初めて春の最中に散る花の跡はしらずや越の山路
梅の花とぢ籠めてむや田の氷越路の山に降れる白雪