/ワンフレーズ原文で知る「源氏物語」~第三帖「空蝉」~

ワンフレーズ原文で知る「源氏物語」~第三帖「空蝉」~

「源氏見ざる歌詠みは遺恨のことなり」(『六百番歌合』藤原俊成判詞より)

俊成のこの言葉に代表されるように、歌詠みにとって「源氏物語」は必須の教養です。
それは現代の私たちも同じ! ですが、そのタイトルはまだしも内容まで知っている人は一部の古典ファンに限られるかも知れません。

源氏物語は日本古典の権威であり、その長大さと文語体によって現代人を冷たくあしらいます。
しかしその実、内容はドラマ「大奥」を彷彿とさせる男女の愛憎エンタテインメント、それが平安の優雅な舞台で繰り広げられるのですから、面白くないはずがない! といってやはり、容易には近づけない…

そこで始めました「ワンフレーズ原文で知る源氏物語」。

各帖ごとに物語の核となるシーンやセリフの原文をワンフレーズでピックアップ!
文語体も苦にならず、かつ物語のエッセンスを堪能しようという試みです。
さあ! 紫式部の手による、源氏物語の世界を気軽に楽しみましょう♪

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主要登場人物
・光る源氏
・伊予介(空蝉の老齢の夫)
・空蝉(伊予介の後妻)
・軒端荻(空蝉の義理の娘、伊予介の先妻の子)
・小君(空蝉の弟)
ダイジェスト
源氏の後光は早くも曇りぎみ。狙いを定めた中流の女「空蝉」は全く靡かない。
女の弟を使ってあの手この手で口説いてみるも、かかったのは女の義理の娘「軒端荻」。
でもまっいっか〜と、ちゃっかり寝ちゃうのはご愛顧。それでも源氏は進むのだ。

「やがてつれなくてやみたまひなしかばうからまし」(空蝉)
「(源氏の猛アピールに困ってはいるが)そのままつれなくされるのは悲しい、、」
空蝉の本音が垣間見える一言だが、女心とは本当に複雑だ。

「さりぬべきをりをみて対面すべくたばかれ」(源氏)
何とか上手くやれ! 源氏は小君(弟)を使って何とか空蝉(姉)に近づこうとする。
かっこ悪い? いやいや仕方あるまい源氏も必死なのだ。

「胸あらわにばうぞくなるもてなしなり」
軒端荻は空蝉の義理の娘ではあるが、年齢差はほとんどない。
つまりそれほど空蝉の夫、伊予介が老齢だということ。
にしても軒端荻初登場シーンはなんとも大胆! 作者紫式部はキャラクターの際立たせ方が本当に上手い。

「まめならぬ御心」
作者にして源氏のこの言われよう、、
桐壺で語られた「世になく清らなる玉の男御子」は今やいずこ。

「やおら起き出でて、すずしなる単衣をひとつ着てすべり出でけり」
源氏の夜這いをいち早く察知した空蝉は、なんとか単衣を一枚着て逃げ出すのだった。
ここで脱ぎ捨てた薄衣を蝉の抜け殻に喩え、女は空蝉と呼ばれるに至る。

「伊予介に劣りける身こそ」(源氏)
俺様はあのジジイにも劣るのか!! 聞きたくなかった、絶世の貴公子源氏の一言。

「空蝉の 身をかへてける 木のもとに なほ人がらの なつかしきかな」(源氏)
源氏物語随一の名歌!
空蝉の落とし物を源氏は大切にクンクン嗅いで慰めるのであった。

「空蝉の 羽に置く露の 木がくれて しのびしのびに ぬるる袖かな」(空蝉)
対する女の返歌。袖の涙の真意やいかに?

(書き手:和歌DJうっちー)
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