卒業式の定番ソング「蛍の光」のはなし


駅にたたずむ袴姿の女性。
ああ、卒業式なんですね!
最近は成人式はもちろん、卒業式や夏の浴衣など、着物姿を好む若い人が増えたような気がします。
でも不思議と和装業界が儲かっているという話は聞きませんが、、

さて、卒業式といえば別れの歌、皆さんは何を歌いましたか?
ある調査によると、小学生の卒業式で最も歌われた歌は「蛍の光」だそうです。
→「卒業式の時に歌った曲は?

ちなみに私は海援隊の名曲「贈る言葉」でした。

「蛍の光」は閉店を知らせる際のBGMとして流れたり、広く日本人にとって馴染み深い曲です。
ですがこの詩の内容まで、ちゃんと理解している人は意外と少ないかもしれませんね。

■蛍の光(一番)
「蛍の光、窓の雪 ふみ読む月日、重ねつつ いつしか年も、すぎの戸を 開けてぞ今朝は、別れ行く」(作詞:稲垣千穎)

この詩は「蛍雪の功」という中国の故事がもとになっています。
貧乏で灯りを灯す油が買えなかった青年は、
夏は蛍の光で、冬は窓から差し込む雪あかりで一心不乱に勉強しました!
という涙ぐましいお話です。

注目は詩中の「すぎ」。「年も過ぎる」と「杉の戸」が掛かっています。
杉の戸も貧しい家を象徴しており、それを開いて今朝旅立とう!! という内容です。
卒業式に全くふさわしい歌ですね!

一方で、閉店の曲としては微妙だということが分かります。
まあかく「蛍の光」も、二、三、四番に卒業ムードは一切ありませんが、、、

古典知識があるともっと深く味わえる、蛍の光のお話でした。
※ちなみにこの原曲、なんとスコットランド民謡だって知ってました?

(書き手:歌僧 内田圓学)

→関連記事「別れと旅立ちに添える歌

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